「介護施設や保育所、優劣を評価・公表」について

厚生労働省は、2002年度から福祉施設のサービス内容を第三者機関が調べて利用者や家族に情報提供する制度を、グループホームと保育所を対象に導入します。
内容的には、施設の運営体制、利用者の希望重視など10項目について優劣を評価し公表します。細目な評価項目や評価方法の詳細は、2001年度中に決める予定です。これらの動きは、社会福祉法の基本理念である「利用者のための情報公開」に伴うものであり、複数の施設を比べるのための判断材料を利用者に提供すると共に、施設間の競争を促して、サービス向上につなげるのが狙いです。
同様の制度は、一部の自治体が介護事業者や保育所を対象として実施していますが、統一基準を作成してこうした取り組みを全国レベルに広げようという試みであり、まさに利用者主権が具現化されようとしている事と考えられます。
将来的には、特別養護老人ホーム等、ほかの介護施設に同じ仕組みを導入することも検討する事になっているようです。
【グループホーム(痴呆症の高齢者のための介護施設)】
数=全国で約1,080箇所
対象=全ての施設に評価を受けることを義務づける。
評価内容=「利用者の特徴を踏まえた介護をしているのか」「必要に応じて介護計画を見直ししているか」等の細目ごとに、評価調査員が「十分している」「していない」等、2.3の選択肢から該当個所をチェックする方式を採用する予定。
それぞれのグループホームには、評価結果を施設内の目立つ場所に掲示することを義務づける。
評価者=各都道府県の社会福祉協議会に設置することを想定
背景=痴ほう症の人が施設の良し悪しを判断するのは難しいうえ、家族からも施設のサービス内容を知りたいという希望が増えていることに対応。利用者の家族は項目ごとに複数の施設のサービス水準を比べることができるようになり、希望する条件に合った施設を選びやすくなる。
【保育所】
数=22,000箇所(公立・民間を含む)
対象=希望する施設を対象
評価者=保育士を育成する専修学校等に設けることも認める見通し。
今後=制度を定着させ、利用者の使い勝手をよくするためには、全ての保育所に評価を受けることを義務づけることも必要になりそうです。

「介護施設や保育所、優劣を評価・公表」について

厚生労働省は、5月28日東京都で開催した「全国都道府県の介護保険担当者の会合」で、指定取消処分を受けた介護サービス事業者 をまとめた報告書を配布しました。
同省が、こうしたブラックリストを作成したのは異例なことで、制度定着のため、悪質な業者に対して厳しい姿勢で臨みたいとしています。
介護保険の導入された2000年4月以降、介護報酬の不正請求等を理由に事業者の取り消された事例は全国で8件であり、今回配布した ものには、事業者名・代表者名と手口が詳しく記載されました。
指定取り消しは各都道府県で公表していますが、全国的レベルで公表されていないため、処分を受けた業者が別の都道府県で指定を申 請されても気付かないケースもあることから、同省は、処分歴をチェックできるようにリストを作成したようです。また、各自治体が事業者を監視し、不正を見抜く際にも参考になることが期待されています。
同省は昨年、劣悪なサービスを提供、介護報酬の不正請求、職員の配置基準違反等、不正を行った業者に対して介護報酬の返還を事業者に求める等、厳正な対処を要請する指針を各都道府県に通知しています。今後も、こうした悪質な事例をとりまとめる等、再発防止に向けた取り組みをすすめる方針です。