「東京都の認証保育所スタート」について

近年、核家族・女性の社会進出を背景にして保育園の需要は高まりつつあります。待機児童を減らすために各自治体は保育園の増設、受け入れ人数の拡充に努めていますが、新たな入園希望者の増加により、待機児童は一向に減る気配はありません。その理由として、子どもの数は減少していても、働く女性及び働きたい女性が増えていることがあります。申告のある待機児童はあくまで表面的なもので、実際には数字に表れない潜在的な需要がかなりあると言えます。
こうした背景のなかで、東京都は独自の認証保育所制度をスタートさせました。
認証保育所は厚生労働省が定める認可保育所よりも設置基準を大幅に緩和させ、利用者の利便性を図ったことが特徴です。
東京都が掲げる認証保育所の特色としては、「民間企業を含む多様な事業者がサービスを競う」ということを前提に、
(1)全施設において0歳時からの受け入れ
(2) 全施設において13時間の開所を基本
(3) 都が設置 を認証し実施主体である区市町村とともに指導
(4) 重要事項の情報開示
(5) ニーズにあった保育所の選択
(6) 利用者と保育所との直接契約
(7) 料金の上限の設定
(8) 適切な保育水準の確保 を挙げています。
運営費の1/2ずつを都と市町村が補助し、さらに駅前に設置する場合は施設整備費も一部補助することとしています。
尚、具体的には8月1日から下記3箇所が開所しています。
社会福祉法人 桑の実会(足立区)・小田急商事 (狛江市)・多摩エンゼルベビーホーム (青梅市)

総合規制改革会議中間取りまとめ案発表
7月24日に総合規制改革会議(首相の諮問機関)の中間取りまとめ案が発表されました。当該取りまとめ案をベースに規制改革を推進していく構えですが、その実現化のためには、関係団体・関係省庁のとの折衝が必要で今後の展開を注視しなければなりません。
福祉分野に関しては、まず「施設介護」について、ケアハウスへの株式会社の参入を容認する等の具体的施策を挙げています。
「保育サービスの拡充と質的向上」として、保育園のPFI方式による公設民営化を促進させ、また保育園と幼稚園を融合させ多様なサービスを供給可能とするべき等としています。
また、社会福祉法人のさらなる改革のため、インターネットを活用して情報公開を進めていき、利用者の利便性を追求していく視点が不可欠としています。その公開内容として、利用者の施設選択の判断材料を多く与えるべきとの観点にたち、収支計算書、事業報告書等も含ませています。
さらに、多様な社会福祉法人のあり方を考慮すべきとの考えから、「介護保険事業による運営を基本として、介護報酬によって存立する社会福祉法人」も今後の検討項目として位置づけられています。

PFI:Private Finance Initiativeの略。公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して行うというもの。こうした民間の「活力」を導入することにより、国や地方公共団体の事業コストの削減、より質の高い公共サービスの提供を目指す。