「介護保険料の減免措置」について

介護保険料の減免措置

昨年4月に介護保険制度が始まって1年半が経過しました。この間、65歳以上の高齢者の介護保険料に関し、制度開始から半年間は全額免除、昨年の10月から今年9月までの1年間は本来の半額とされていました。
 しかし、制度導入時の経過措置が終了し、この10月から保険料が全額徴収となっております。保険料は自治体や所得などによって異なりますが、65歳以上の場合、全国平均で月2,900円と言われています。
 各自治体では、利用者の負担増への反発を避けるため、保険料を独自に減免する動きが広がってきています。厚生労働省によると、全国3249市区町村のうち、高齢者向けに独自に保険料減免措置を講じるのは、今年4月時点で139でしたが、10月時点でさらに50ほど増えたとのことです。全国の道府県庁所在地では、新たに8市が加わり、合計16市が独自の減免措置を実施しています。今まで減免措置を実施していた2道府県庁所在地は、金沢・長野・岐阜・大阪・神戸・和歌山・長崎・那覇で、これらに、盛岡・仙台・千葉・京都・鳥取・岡山・広島・大分の8市が加わります。また、東京特別区でも1区から合計10区へと増加しました。
 また東京都の場合、上記のような保険料減免とは別に、介護サービスを利用した際の本人負担額を半減する制度を来年1月から実施すると発表しました。これは、低所得者に限っての制度で、介護サービスをより利用しやすくする為に、原則として利用者負担の10%を5%にするというものです。同制度によって減免を受けられるのは、市区町村民税が世帯非課税で、世帯での年間収入が基準収入額(一人世帯では、120万円)以下など、市区町村が「特に生計が困難である者」と認めた人としています。このように、都道府県が主導して、減免策を実施するのは、全国でも初めてのことです。
 こうした地方自治体の動きに対して厚生労働省は、@全額免除は避け少しでも保険料をとる、A収入だけに注目した一律免除はしない、B住民のために貴重な一般財源は使わない、という原則を掲げています。そもそも、介護保険制度は、保険料と公費を折半して介護を賄うということであり、自治体のこうした動きは、従来のような公費で賄う措置制度に戻りかねないとしています。つまり、厚生労働省は、保険料を財源とする減免措置は認めていますが、あくまでも自治体の税金は使わせないとしています。

とはいえ、介護行政の現場は自治体であり、自治体が運営の仕組みをいろいろ試していくしかありません。自治体は住民の意向を受けて独自の施策を打ち出すべきであり、そうした自治体の裁量権を認めるべきとの識者の意見もあります。


介護保険制度によって受けられるサービスは、大きく分けて、在宅サービスと施設サービスに
分類されます。
制度そのものは在宅重視を掲げて発足しましたが、特別養護老人ホームなど施設への入居希望者が増えています。
ところが、現状では施設が足りない状況で、入所まで長期間待機しなければならないのが実情です。

介護保険制度につきましては、制度そのものが始まったばかりであり、上記のような、国と自治体との運営方針の相違がみられますが、同制度によるサービスの供給体制を整備推進していくことが、利用者の為に何よりも必要なことです。ケアハウス等の設置主体を民間企業に拡大していくこと等が、政府の具体的施策にもなっています。
今後、民間企業による介護保険分野の進出は政府の後押しもあり、さらに拡大していくことが必至です。
従って、職業会計人が、介護保険ビジネスに進出した企業に関与する機会も、飛躍的に増大していくことが考えられます。
介護保険制度に係る国・自治体・企業の動向を今後も注視する必要があると思われます。