民間企業の介護サービス

介護保険制度導入以来、民間企業は主にホームヘルプサービス、訪問入浴介護等の介護保険法で規定する「居宅サービス」のうち、訪問サービスに進出する企業が多かったのですが、その先駆的な企業である潟Rムスンが有料老人ホームの運営に参入し、年内には施設を開設する予定です。
 また、神奈川県を中心に訪問介護サービスを展開している潟cクイも今秋には横浜市内に有料老人ホームを開設し、これから3年間で有料老人ホームを5ヶ所に増やす計画とのことです。この他、潟xネッセコーポレーションも2003年3月期までに本格展開する予定です。
 民間企業が、有料老人ホーム事業に乗り出す背景には、特別養護老人ホーム等の介護保険法上の介護保険施設が足りないということがあります。そもそも、在宅介護を基本に据えてスタートした介護保険制度ですが、サービスが整い、安心感がある施設サービスに対する入所志向が家族にも強く、どこの施設も入所の順番待ちが続いているというのが現状です。
 こうした背景のもと、資本力がある大手介護サービス企業は、従来の様な高額な利用者の入居一時金(数百万〜数千万)を軽減するために、土地所有者に対しての長期の賃借契約を結ぶ形態により、投資コストを削減し、利用者の負担を抑え、施設入所希望者を呼び込もうとしています。

有料老人ホームとは?
 自らの選択により、多様なニーズを満たそうとする老人を対象とする入所施設です。老人福祉法の規定により設置者は都道府県知事への届出義務があり、都道府県知事は設置者等に報告徴収及び勧告を行なうことが可能です。有料老人ホームの設置運営は社会福祉事業にあたらないため、設置主体は、地方公共団体及び社会福祉法人に限定されていません。
 なお、老人福祉法上、有料老人ホームは「老人福祉施設」に該当しません。同法上、「老人福祉施設」とされているのは、特別養護老人ホーム、養護老人ホーム、軽費老人ホーム等です。(第5条の3)。この場合の設置主体は都道府県・市町村・社会福祉法人等です。(下記表ご参照)

有料老人ホームで暮らす人に対する介護サービス
 高齢者が自ら費用を負担して選んだ住居である有料老人ホームに入居している高齢者は、介護保険上居宅とみなされるため、「在宅サービス」である入浴・排泄・食事等の介護、洗濯・掃除等の家事、その他日常生活上の世話、機能訓練、療養上の世話などのサービスを受けることになります。?
 施設側としては、契約に基づき施設が責任を持って介護サービスを提供する場合には、当該介護サービス部分について介護保険法上の「特定施設入所者生活介護」として介護保険から給付が行われます。

  介護保険法上の分類 設置主体
備考(国の施策等)
特別養護老人ホ−ム 介護老人福祉施設
国・地方公共団体・社会福祉法人。
個室・ユニットケアを特徴とする新型特養の推進。
「ホテルコスト」の負担。
有料老人ホーム
特定施設入所者生活介護
地方公共団体・社会福祉法人に限定されるものでないこと。
個人経営でないこと等。
上記のように、今後の民間企業の動向に注視。
軽費老人ホームのうち
ケアハウス
特定施設入所者生活介護
国・地方公共団体・社会福祉法人・民法第34条の規定により設立された公益法人・農業共同組合・全国厚生農業共同組合の連合会の会員である厚生(医療)農業共同組合連合会及び医療法人。
厚生労働省の「ゴールドプラン」の推進により、設置主体を民間企業にも拡大し、PFI制度を活用した公設民営型による整備を促進。