〜保育所運営費に対する財務省の予算執行調査〜

 すでに一部全国紙でも報じられましたが、6月2日に財務省が「予算執行調査」の第1次資料を公表しました。本号のFaxNewsでは、この中の保育所運営費に関する調査結果についてお伝えします。
 財政状況の厳しい折から、これらが今後の予算等へどのような影響を及ぼすのか、注意が必要です。

 調査対象

 公営の認可保育所(以下@)・社会福祉法人経営の認可保育所(A)・公設民営(株式会社に運営を委託)の認可保育所(B)・認可外保育所(東京都認証)(C)

 調査結果とその分析

 調査した保育所において実際にかかっている運営費は、国が定める基準で計算した保育所運営費との比で、@・2.5倍A・1.8倍B・1.3倍C・1.0倍となっています。
 上記のような運営主体間の相違は、保育所運営費の大部分を占める人件費の相違が直結したものであり、最大の要因は、特に公営保育所の保育士一人あたりの人件費が高いことにあるとしています。

 今後の改善点・検討の方向性

 上の調査結果をふまえた上で、まず保育所運営費の効率化のために重要なこととして「人件費の抑制」「公設民営、株式会社の参入促進」を挙げ、そのための規制改革等の推進を求めています。
 さらに、多様な保育ニーズへの対応という観点から今春すでに実施している
 (1) 短時間勤務保育士(注)は保育士総数の2割以内でなければならないとする規制を撤廃し、常勤保育士が原則として各クラスに1人
   以上配置されていればよいこととする(雇児発第0521001号)
    (注)短時間勤務保育士‥‥1日6時間未満または月20日未満勤務の保育士
 (2) 分園制度について、本園1か所につき分園2か所までとなっている分園の数規制の撤廃、分園のみの公設民営解禁などの規制改革を
   行う(雇児発第0521002号)
 (3) 保育所の最低定員規制(20人以上)を改め、認可申請の時点では20人未満であっても、認可した日以降において20人以上になることが
   確実に見込まれる場合であれば認可できることとする(雇児保発第0521001号)
などの措置を挙げた上で、さらに今後必要とされることとして
 (4) ビルにおける保育所開設を容易にするため、保育所建物基準の見直しを行う
 (5) 調理室必置規制等の保育所設備基準の見直しを行う
 (6) 学校の余裕教室等の既存施設を可能な限り活用する
などへの取り組みを挙げています。                        【財務省主計局「予算執行調査資料(第1次)」 H14.6.21 より】

 すでに保育の現場やその関連団体から、(1)に対しては保育サービスの質の低下や常勤職員の負担増加など、(2)に対しては施設・設備・人員配置などが不充分な分園の増加などに対する危惧から、反対の声があがっています。また、(4)以降についてはこれより前に発表された地方分権改革推進会議(首相の諮問機関)でも同趣旨の提言がなされており(H14.6.17)、今後の動向が注目されます。