〜厚労省概算要求、少子化対策に約1兆円〜

  8月28日、厚生労働省は来年度予算の概算要求をまとめ、財務省に提出しました。一般会計総額は前年度当初予算比4.6%増の19兆5,237億円、 うち社会保障関係費は39%増の18兆4,628億円となっており、中でも政府の重点分野の一つである少子化対策に約1兆円を計上している点に注目が集まっています。

※ 義務的経費=人件費、年金・医療等、支出が法定されている経費など、制度的な枠組みを背景に支出水準や内容が決定される非裁量的・義務的な経費
  裁量的経費=政策判断によりその水準や内容について柔軟に見直しができる、裁量性の高い経費

◆次世代の育成を支援する少子化対策の推進 10,615億円◆

  1.地域社会を通じた子育て家庭支援の拡充 2,216億円
  2.多様な保育サービスの充実 5,009億円
    ・待機児童ゼロ作戦の推進
       ・保育所の受け入れ児童数の増大(335.6億円)
       ・家庭的保育事業の充実(12.5億円)
         保育者(保育ママ)の自宅で少人数の保育を行う事業について、利用日数の条件緩和など利用者の需要に応じたサービスの提供
        を行うとともに、保育所を通じた事業の実施を可能とする。
      ●特定保育事業の創設(11.1億円)
         就労形態の多様化(パートの増大等)に伴う保育需要の変化に対応するため、週に2,3日程度、又は午前か午後のみ必要に応じ
        て利用できる保育サービスを創設する。
          ・対象児童数 10,000人 ・補助単価(月額)週2日程度 15,400円 週3日程度 21,900円
       ・認可化移行促進事業(1.2億円)、送迎保育ステーション事業の拡充(1.0億円)、駅前保育サービス提供施設等設置促進事業
       (0.6億円・30ヵ所)
    ・多様な保育サービスの提供 ・延長保育の推進 ・休日保育の推進 ・一時保育の推進 など
    ・保育所の施設整備
       ・社会福祉施設等施設整備費 1,491.4億円(うち保育所緊急整備分187.7億円)
       ・特定保育事業のための保育室等を整備する場合の加算の創設(1施設当たり10,300千円を加算) など
    ・保育所運営費の改善(4,283億円)
       ・受入れ児童数の増(再掲)
       ・事務職員雇上費加算対象施設の拡大(10月実施)       ・主任保育士専任加算対象施設の拡大(10月実施)
         特別保育事業等実施保育所 定員61人以上→46人以上   特別保育事業等複数実施保育所 定員46人以上→全施設
  3.その他、子育て生活に配慮した働き方の改革(83億円)など


 〜介護保険料11.3%増、平均月額3,240円に〜

 厚生労働省は、来年4月に改定される介護保険料のうち、65歳以上の第1号被保険者の保険料が、現行の全国平均2,911円から 11.3%、330円増の3,241円となる見通しであると発表しました。
||||| 拡大する自治体間格差 |||||                    
 発表された3,241円という金額は、今年6月時点で全国の2,816市町村が算出した保険料の月額基準額を平均したもので、基準額とあわせて分布状況も示されており(市町村名などは非公表)、それによると1,000〜1,500円以下が6市町村(全体の0.2%)ある一方で、6,000円を超えた市町村も同じく6市町村存在し、最高では現行最高額の倍近い8,000円台というところもあるとのことで、自治体ごとの格差は現状の2.7倍から8倍近くに広がっています。


||||| 厚労省、赤字自治体を支援 |||||
 介護保険の財源は、現行制度では公費が50%、40−64歳の被保険者が支払う保険料が33%、65歳以上の第1号被保険者の保険料が 17%の割合で財源が拠出されています。このうち第1号保険料は被保険者が地元の市町村に支払うもので、3年ごとに改定されます。 金額はその自治体のサービス提供にかかった経費や被保険者の数によって増減するため、施設入所者の多い地域や小規模の自治体では保険料が高くなる傾向があります。 また、介護保険財政が赤字の市町村は都道府県が設置する「財政安定化基金」からの借入れ金等で赤字分を補填しますが、 その償還分をまかなうために保険料を値上げせざるを得ないという側面もあります。 今回集計された2,816市町村のうち、2001年度は390市町村が赤字を計上したとのことです。
 厚生労働省はこれに対し、財政安定化基金からの借入金の返済期間を、現行の3年から最長9年に延長する特例措置を設けるほか、 今回の概算要求において、前号でもお伝えした介護保険事業の広域・共同運営化をめざす市町村への経費補助などのための予算を要求する方針です。
 今回の調査は6月時点での中間集計で、今後10月を目途に最終的なまとめが行われ、その調査結果は12月ごろ公表される見込み(※)です。
※ 平成14年6月4日「全国介護保険担当課長会議資料」の「第2期介護保険事業 計画等」による