〜支援費制度に移行する障害者福祉サービスについて(1)〜

 すでにご承知の通り、来年4月から障害者福祉サービスの一部は支援費制度に移行しますが、移行するサービスについて、 それらが実際にはどういう性質のものであるのか、概略を把握していただければと考え、数回の連載企画としてお伝えいたします。 今回はその第1回として、身体障害者福祉法(以下「法」といいます。)に規定される施設サービスを取り上げます。

◆第1回◆ 身体障害者福祉法上の施設サービス



(用語の定義等)

身体障害者更生施設:「身体障害者を入所させて、その更生に必要な治療又は指導を行い、及びその更生に必要な訓練を行う施設」 (身体障害者福祉法第28条の2)
  → 肢体不自由者更生施設(障害の程度のいかんにかかわりなく相当程度の作業能力を回復しうる見込みのある者を対象とし、生活機能訓練や作業訓練など、 社会的更生のために必要な知識・技能・訓練を与える施設)、視覚障害者更生施設(あんま、鍼灸等の職業についての知識・技能・訓練を与える施設)、 聴覚・言語障害者更生施設(聴覚・言語障害者に対し、医学的診断及び語音明瞭度検査、補聴器装用訓練、音声・言語機能更生訓練、職業訓練など、 更生に必要な指導及び訓練を与える施設)内部障害者更生施設(内臓機能に障害のある者に対し、医学的管理の下に、更生に必要な指導及び訓練を行う施設)、 重度身体障害者更生援護施設(職業的更生は困難であるが、少なくとも自助動作の機能が回復する可能性があると判定される 重度の肢体不自由者または内部障害者を入所させ、家庭復帰に必要な日常生活、能力の回復に重点を置いて各種のリハビリテーションを行う 施設・支援費制度移行に伴い廃止 [] )に分けられます。

身体障害者療護施設:「身体障害者であって常時の介護を必要とするものを入所させて、治療及び養護を行う施設」(法第30条)
  → 身体上の著しい障害のために常時介護を必要とするが、家庭ではこれを受けることが困難な最重度の障害者を入所させ、医学的管理の下 に必要な保護を行う施設です。

身体障害者授産施設:「身体障害者で雇用されることの困難なもの又は生活に困窮するもの等を入所させて、必要な訓練を行い、 かつ、職業を与え、自活させる施設」(法第31条)
  → 作業品目は印刷、衣料品、クリーニング、木工・陶工芸、電器、玩具、食品、農耕など多岐にわたり、原則として作業能力に応じて労費が支払われます。 身体障害者授産施設、身体障害者通所授産施設(身体障害者授産施設への入所対象者のうち、地理的条件、障害の状況等を勘案して、 通所によっても十分その更生効果を得られる者を通所させる施設)、重度身体障害者授産施設(重度の身体障害のため、ある程度の作業能力をもちながら 当該施設以外では就業が困難な障害者を入所させる施設・支援費制度移行に伴い廃止 [] )があります。
 授産施設とは別に身体障害者福祉工場(重度の身体障害者で作業能力はあるが、職場の設備・構造、通勤時の交通事情等のため一般企業 に雇用されることの困難な者に職場を与える施設・支援費対象ではありません)がありますが、こちらは授産施設とは異なり、 企業的色彩が強く、福祉施設であると同時に、労働関係法の適用を受ける事業所でもあるという性格をもちます。 ここを利用する身体障害者は、経営主体と雇用契約を結んで就労します。

施設の類型としては廃止になるということであり、施設そのものがなくなるという意味ではありません。 利用者は各自の障害程度に応じた支援費の支給を受けながら、それまでの施設を継続して利用することになります。 重度身体障害者更生援護施設・重度身体障害者授産施設は、支援費制度移行後は 「通常ならば身体障害者更生施設か身体障害者授産施設に区分されることになる(厚労省見解)」とのことです。

身体障害者福祉ホーム:「低額な料金で、身体上の障害のため家庭において日常生活を営むのに支障のある身体障害者に対し、その日常生活に適するような 居室その他の設備を利用させるとともに、日常生活に必要な便宜を供与する施設」(法第30条の2)
身体障害者福祉センター:「無料又は低額な料金で、身体障害者に関する各種の相談に応じ、身体障害者に対し、機能訓練、教養の向上、社会との交流の促進 及びレクリエーションのための便宜を総合的に供与する施設」(法第31条の2)
補装具製作施設:「無料又は低額な料金で、補装具の製作又は修理を行う施設」(法第32条)
 → 補装具とは、義肢、義眼、補聴器、点字器、車いすなど、身体障害者(児)の身体の一部の欠損又は機能の障害を補い、日常生活や職業生活を 容易ならしめるために用いられる器具の総称です。施設では義肢装具の製作・修理のほか、初めて義肢を装着する者に対しての使用訓練なども行われます。
盲導犬訓練施設:「無料又は低額な料金で、盲導犬の訓練を行うとともに、視覚障害のある身体障害者に対し、盲導犬の利用に必要な訓練を行う施設」(法第33条)
視聴覚障害者情報提供施設:「無料又は低額な料金で、点字刊行物、視覚障害者用の録音物、聴覚障害者用の録画物その他各種情報を記録した物であって 専ら視聴覚障害者が利用するものを製作し、若しくはこれらを視聴覚障害者の利用に供し、又は点訳若しくは手話通訳等を行う者の養成 若しくは派遣その他の厚生労働省令で定める便宜を供与する施設」(法第34条)