〜長引く不況の中、介護関連業種が高成長(日経記事から)〜

 11月7日の日本経済新聞によると、同社が実施した「第20回サービス業総合調査」で、2001年度のサービス業全体の売上高が前年度比で4.2%増えて 8年連続の上昇となり、全52業種中19業種が二ケタ成長を示す結果となったとのことです。中でも「2000年の公的介護保険導入に伴って参入した 民間企業の事業展開が加速している(記事より)」介護分野の伸びが目立っています(下表参照)。
 売上だけでなく、雇用も拡大しており、記事では「特別養護老人ホームの民間参入規制の緩和を機に拠点の増設が相次ぐ見通しで、 ヘルパーなどの雇用吸収力が高まりそうだ」としています。しかし一方で、「構造改革特区」構想の目玉として厚労省が打ち出した特養運営の規制緩和策 (従来自治体と社会福祉法人に限られていた特養運営を、特区では公設民営方式かPFI方式を条件に企業の参入を認めるもの・ FAX NEWS10月18日号にて既報)について、緩和策が公表されて1ヵ月を過ぎたにもかかわらず、 特区活用の対象地域に名乗りを上げる自治体が現れないとの報道もあります(11月10日付日本経済新聞) 同記事には「条件付きでは活用できない」「条件を付けず社会福祉法人と同等に企業の全面参入を認めてほしい」との自治体の声も紹介されていますが、 特養への民間企業参入については、今後もその動向に注視していく必要がありそうです。
 

売上高の伸びが大きい業種(%)

在宅介護・在宅入浴サービス

51.9
2

インターネットプロバイダー

22.6
3

遊園地・テーマパーク

19.5
4 有料老人ホーム 18.2
5 人材派遣業 17.1
6 パチンコホール 15.9
7 番組供給会社 13.8
8 興行場(劇場等) 13.2
9 人材紹介 12.4
10 保育サービス 12.2

(注)有効回答企業10社以上

業種別の雇用状況(%)
正社員 非正社員
増 加 減 少 増 加 減 少
全 体 36.7 34.6 42.3 22.4
在宅介護・在宅入浴 72.3 12.8 82.6 4.3
有料老人ホーム 67.6 13.5 67.6 13.5

(注)「非正社員」:パート・アルバイト、派遣社員など



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〜厚労省老健局長、介護サービス事業者の指定権限の移譲を提案〜
 厚生労働省の中村秀一老健局長は、先に埼玉県東松山市で開催された「介護保険推進全国サミット」で、介護保険制度の見直しに際し、 保険者機能を強化する必要があると語り、その焦点の一つとして、都道府県のサービス提供事業者の指定・取り消し権限を市町村に 移譲する考えを示したとのことです。その理由として、介護保険制度は1地域1保険者という地域完結型のシステムであるべきであるにもかかわらず、 事業者の指定権限を都道府県が保持し、施設開設許可が市町村の頭越しに行われている結果、利用者見込みと保険財政の運用に支障が生じるなど、 市町村が介護保険事業計画の遂行責任を果たせない状況にあることを挙げています。

〜都、福祉サービス第三者評価機関27団体を認証〜
 平成15年度から福祉サービスに対する独自の第三者評価制度を本格導入する東京都は、今年4月から「東京都福祉サービス評価推進機構 (財団法人東京都高齢者研究・福祉振興財団内)」を設置し、評価機関の募集、評価機関認証基準や事業種ごとの評価項目の策定、 評価者養成講習などを行ってきましたが、この11月6日、同機構において第1回の評価機関認証が行われ、 民間評価機関として27団体が認証されました。認証を受けた団体のうち、企業が12、特定非営利活動法人(NPO法人)が10を占めています。
 評価機関が認証を受けるための要件としては「法人格を有すること」「福祉サービスを提供していないこと」「同機構実施の 評価者養成研修を受けた評価者が3人以上所属していること」「同機構が定める評価項目をすべて取り込んで評価を行うこと」などがあります。 認証取得評価機関に対して助成金等の財政的支援が行われるわけではなく、また認証を受けなければ第三者評価事業を行えないというわけでもありませんが、 認証されれば同機構のホームページ等に評価機関情報と評価結果が掲載されるため、 評価機関としてのステイタスと知名度を向上させられるというメリットがあります。
 評価は評価機関と事業者の契約によって行われます。事業者が評価を受けるかどうかは任意で、認証取得評価機関による評価結果は同機構によって公表され、 利用者の選択の利便に資されます。同機構は年内に第2回認証としてさらに27団体を追加認証するほか、今年度中に、特養・グループホーム・認可保育所・ 認証保育所(都独自の基準によって補助を受ける認可外保育施設)の4種別、計82事業者に対して認証取得評価機関による評価を行い、 来年度の本格実施へ向けた評価システム全体のチェックを行う方針です。