〜子育て支援にむけた法整備・制度整備、活発化〜

 昨年12月31日に厚労省から平成14年の人口動態統計年間推計が公表され、平成14年に生まれた子どもの数は前年をさらに下回り、過去最低を更新する見込みであることが明らかになりましたが、それと前後して、年末から年始にかけて子育て支援をめぐる動きが活発化しています。

1)「次世代育成支援対策推進法案(仮称)」
 先に発表された「少子化対策プラスワン」を受け、少子化対策に向けての具体的な行動計画の策定を自治体や事業主などに義務づけるものです。主な内容は以下の通りです。

 ・都道府県・市町村に対し、行動計画(保育サービス基盤の拡充や家庭での子育てを支援する体制の充実、教育環境の整備、子育てと仕事の両立の推進などについて、目標と目標達成のために講ずる措置の内容・実施時期等を記載)策定を義務づける。
 ・大規模な事業主(従業員300人以上)に対し、育児休暇の取得率向上(休暇制度の改善や育児費用の補助など)、仕事と子育ての両立がしやすい環境の整備(残業時間の縮減や短時間勤務・隔日勤務制度の創設など)、企業内託児所の一般開放などについて、数値目標や実施時期を明記した行動計画の策定を義務づけ(中小事業主については努力義務にとどめる)、計画を策定し達成した事業主を「対策推進事業主」と認定する。


 法案は10年間の時限立法で、計画の策定は平成17年度から施行とされています。厚労省は法案をこの1月20日に召集される予定の第156通常国会に提出する方針であるとのことです。

2)児童福祉法の改正
 ・市町村における地域子育て支援事業(子育て短期預かり事業[施設等での子育て支援サービス提供]・居宅子育て支援事業[訪問等による居宅での子育て支援サービス提供]・子育て相談支援事業[子育ての相談に応じるとともに、子育てを行う者相互の交流を促進する])を法定化し、市町村にはこれらの事業が区域内で行われるための措置を実施する努力義務を規定
 ・子育て支援総合コーディネート事業(市町村が、子育て支援サービス等に関する情報提供、相談および助言、市町村・事業者・児童を養育する者との間の連絡調整を行うもの)の実施
 ・施設(乳児院・母子生活支援施設・児童養護施設・情緒障害児短期治療施設および児童自立支援施設)に対して、子育て支援(地域の住民等に対し、子育てに関する相談に応じるなど)の努力義務を規定
などが盛り込まれています。1)と同じく今度の通常国会に提出される予定です。

3)「育児保険(次世代育成支援事業基金)」の創設の検討(読売新聞1月5日朝刊による)
 政府は、年金保険料の一部などの拠出による育児支援策の財源規模拡大と、児童手当や保育サービスなど別々の制度を市町村が総合的に実施し、利用者が選択できるしくみに再編することを柱とした「育児保険(次世代育成支援事業基金)」の創設について検討を始めました。平成16年の次期年金制度改正に合わせて内容を詰め、平成18年度ごろの導入を目指すとのことです。
 報道によると、児童手当などの「現金給付」と、保育所やベビーシッターなどの「サービス給付」とを一体化して給付し、各家庭に適したサービスを選択できるようにするものです。保険料と国庫補助を財源とする公的年金財政から拠出する5,000億〜1兆円程度と、所得税控除の扶養控除見直しなどの増税によってまかなう5,000億円前後を制度運用の財源に充て、市町村に交付するというしくみで、育児保険のための新たな保険料徴収などの国民負担は求めない方針です。