子育て支援ビジネスをめぐる動き、活況

  昨年末から最近にかけて、保育事業に関連した記事が盛んに新聞の紙面をにぎわせています。主なものを下表にまとめてみました。
企業名 動 き 概 要
コンビ株式会社
(ベビー用品・乳幼児玩具など)
ピジョン株式会社
(育児・介護・マタニティ用品など)
育児支援事業を統合、
新会社を今年8月1日に設立
コンビの保育園運営子会社コンビチャチャ鰍ニピジョンの保育・託児施設運営子会社ピジョン・キッズワールド鰍合併し、業界最大手となる新会社「ピジョンコンビキッズ梶vを設立。両社合計55ヵ所(2月現在)の保育施設運営のほか、ベビーシッター派遣、企業内託児施設受託などの育児支援を総合的に手がける。
アコムグループ
(消費者金融など)
保育事業に参入 施設の運営は保育サービス会社から導入したノウハウをもとに子会社が行う。昨年12月に東京都福生市に東京都認証の保育所を開設したほか、今年中に都内に2施設開設の予定。
株式会社東薬
(薬局経営など)
保育事業に参入 米国の大手保育所運営会社と提携し、ハーバード大教授らが監修する独自の保育プログラムや英会話教育を特長とした保育所事業を行う。横浜市の超高層ビル「ランドマークタワー」内の託児所(6月開設予定)を皮切りに、3年間で20ヵ所程度の開設をめざす。
株式会社ニチイ学館
(医療・介護・教育など)
保育事業に参入 本業の医療事務受託で関係する病院などからの需要が高まっていることに対応し、まず院内保育施設から事業を展開。平成17年3月期までに全国約60ヵ所の展開をめざし、保育所経営やベビーシッター派遣を手がける(有)ライフリトルを子会社化。
東京急行電鉄株式会社
(鉄道・不動産・ホテル事業など)
保育事業に参入 幼児教室などを運営する蒲搴と連携し、東急電鉄の鉄道駅前に今年1月・2月各1ヵ所ずつ保育所を開設。今年夏をめどに横浜市にも開く予定で、駅前型を中心に展開。東急電鉄が建設した建物を理究が賃借し、運営を行う。

 上記のように、民間、それも異業種の企業による保育事業参入が活況を呈しています。働く女性の増加な どから、特に都市部などでは子育て支援サービスに対するニーズは高く、上記のほかにも、人材流出を避け る目的で、企業が事業所内に託児所を設けるケースもあるようです。
 今国会中に成立見込みで、すでに本紙でも何度か取り上げている「次世代育成支援対策推進法(案)」に も、自治体や企業に対する子育て支援計画策定の義務づけが盛り込まれるなど、社会全体で子育て支援に取り組もうとする機運は高められつつあり、保育を含む子育て支援ビジネスの市場は今後も成長が見込まれています。そうした中で、ピジョンとコンビの育児支援事業統合は、事業規模拡大による収益力強化、市場での優位性の確保を目的としたもの(ピジョン社HPより)、異業種各社による参入は、市場の成長を見越した上で、他に先がけてノウハウの蓄積と実績の積み上げを狙ってのものとみられています。制度面も含め、子育て支援ビジネスをめぐる一連の動きについては、今後も注視が必要と思われます。


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◆ 厚労省 全国介護報酬・事業運営基準担当者会議(2月20日) ◆
 厚生労働省は20日、「全国介護報酬・事業運営基準担当者会議」を開き、4月1日から改定される介護報酬単価などの告示案を公表しました。「基本的には告示案がそのまま官報に掲載される予定(厚労省老健局老人保健課) 」 とのことです(「介護福祉.com」による)。新単価案などが示された同会議の資料は、社会福祉・医療事業団のサイト(WAM NET)に掲載されており、以下の方法で入手できます。
・トップページ(http://www.wam.go.jp/index.html)の中段「お知らせ」内「(2月20日)全国介護報酬・事業運営基準  担当者会議」をクリックすると、資料(pdfファイル)のページに入ります(新単価案は「介護給付費単位数表等の改正案 」)。

◆ 「幼保一元化」構造改革特区内で実現へ ◆
 各紙によると、政府は27日に行われた構造改革特区推進本部の会合において、学校経営への株式会社・NPOの参入、公的医療保険を適用しない保険外診療に限った株式会社の医療機関経営などの規制緩和を認める47特区の新設を決定したとのことです。これらの中には保育所施設内での保育所児と幼稚園児の合同保育を行う特区も含まれており、提案主体として静岡県掛川市などが挙がっています。具体的には、共用化指針(※)による保育所において、@保育室が、保育所児・幼稚園児数の合計に対して児童福祉施設最低基準(面積・職員配置)を満たしている A担当職員が保育士資格と幼稚園教諭免許を併有し、保育士および幼稚園教諭を兼務している B保育内容が保育所保育指針と幼稚園教育要領に沿ったものである の3つの条件を満たしている場合、定員の範囲内で保育室での保育所児と幼稚園児の合同保育を認めるというものです。特区での試行が今後全国に広がってゆくのか、注目されます。
※ 共用化指針:幼稚園と保育所を合築し、併設し、または同一地域内に設置する場合において、施設や設備の相互共用などを認めるもの・平成10年3月10日 文部省初等中等教育・厚生省児童家庭局長連名通知)