この3月28日、内閣府国民生活局物価政策課より標記の資料が公表されました。これは昨年5月に内閣府において設置された「保育サービス価格に関する研究会」(座長:八代尚宏日本経済研究センター理事長)が、保育サービス市場について「日本ではじめて本格的に包括的な実証分析を行」った(同報告書より)ものです。以下、同報告書からピックアップしてご紹介します。
||||| 保育サービスの供給面 |||||
(内閣府が関東近県の10都県に協力を依頼、各市町村において無作為抽出した保育所からデータ提供)
@賃金コストの比較:公立保育所>私立認可保育所>認可外保育所
・公立は賃金カーブが急で保育士の平均年齢も高い。
→30歳以下比率・公立31%、私立57% 平均経験年数・公立13年、私立7年
・公立は私立認可より約30%賃金が高く、私立認可は認可外よりも約30%賃金が高い。
Aサービスの質の比較:公立・私立それぞれに得意分野
・保育士の経験年数、屋内・屋外遊戯場面積など→公立優勢、保育時間の弾力性、休日保育・一時保育などの有無、懇談会・
苦情処理など保護者とのコミュニケーション面、児童の健康や安全管理→私立優勢
||||| 保育サービスの需要面 |||||
(東京・神奈川・千葉・埼玉の0歳から5歳の未就学児をもつ世帯3,100世帯にアンケート発送、有効回答1,553)
@保育サービス需要は価格に敏感 →1万円の保育料低下で利用者の割合は8〜9%上昇と推計される。
A「家からの近さ」も選択に影響? →通所時間(片道・交通手段問わず)は自宅から10分以内または10〜20分が過半数
B今後実施を希望するサービス:病気時・病後時の保育、平日の夜や休日の懇談・面談会、保育室や園庭にカメラを設置しての
子どもの見守り
報告書では「まとめ」として、公立保育所の経営効率化・高コスト体質の改善、幼保一元化も含めた一体化運営の推進などのほか、
@民間企業に対する会計基準の円滑な適用や保育所の運営費補助の剰余金に係る会計処理の柔軟化など、競争条件の平等化に
よる新規参入の促進
A認可外保育所に対してサービスの質の向上のインセンティブを与えるため、補助金の有効活用を検討する
B保育料の設定・補助金のあり方の見直し、低年齢児を抱える保育サービス利用者への直接補助の検討
などを今後の方向性として提言しています。@は後段でお伝えしている「規制改革推進3か年計画(再改定)」(15年3月28日閣議決定)でも言及されており、注目されます。 |