6月7日付読売新聞の報道によると、厚生労働・文部科学の両省は、現在の保育所と幼稚園とは別に、未就学児童を対象とした新しいタイプの総合施設を全国に設置する方針を固め、検討を始めるとのことです。
同案は経済財政諮問会議「経済財政運営と構造改革に関する基本方針(注・いわゆる骨太方針)2003」、総合規制 改革会議「アクションプラン12項目」にもそれぞれ盛り込まれており、「骨太方針」によると「地域のニーズに応じ、 就学前の教育・保育を一体として捉えた一貫した総合施設の設置を可能とする」と明記されています。また財源について は「関連する負担金の一般財源化など国と地方の負担の在り方について、地方公共団体の意見を踏まえ」「必要な措置を講ずる」としています。
報道では、親の就労状況に関係なく子どもを預けることを可能とすること、普段は短時間の利用でも、急な用事の際は時間延長することも可能にするなど、柔軟なサービスを提供する施設とする案が挙げられており、ゼロ歳児から5歳児までの乳幼児の交流機会の増加、独自のカリキュラムの採用など、新たな子育て支援サービスにつながる可能性もあると述べられています。
もともと保育所は児童福祉施設(厚労省所管)、幼稚園は教育機関(文科省所管)として位置づけられ、また制度面でも異なる部分が多く、いわゆる「幼保一元化」には両省とも強く反対してきた経緯がありますが、この総合施設の創設については前向きに検討する方針であり、平成18年度までに結論をまとめる方針であるとのことです。
すでに構造改革特区内では幼稚園・保育所の合築施設において合同の教育・保育活動が行われており(幼保一体化特区・群馬県六合村)、その意味でも同案の行方には今後注目が集まるところです。なお、本件について厚労省に照会したところ、これから検討に入るところで、報道された以上のことはまだ未定との回答でした。
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◆ 福祉関連ビジネスの近況
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〜医療・介護関連各社の保育所事業参入相次ぐ〜
・潟jチイ学館(医療関連の人材派遣・業務受託、介護、教育事業など):すでに開始している院内保育施設向けの保育士・ベビーシッター派遣業に加え、今年度中に認可保育所を開設。
・鞄本医療事務センター(医療関連の人材派遣・業務受託、介護、教育事業など):昨年11月に東京都認証保育所を設置、今年度新設の訪問介護拠点(新宿区など3ヵ所)に新たに都認証保育所を併設。
・日本ロングライフ梶i在宅介護・有料老人ホーム運営など):大阪市内の老人ホームに保育所を設置。
各社が保育事業に本格参入する背景には、都市部で保育所が不足している現況から事業拡大が期待できるという判断の
ほか、介護サービスを提供するヘルパーなど従業員の大半が女性であるため、介護拠点の近くに保育所を開設することで出産後も継続的に働いてもらえるようにするという狙いもあるようです。
〜自治体と社会福祉法人、民間企業が連携した介護事業〜
品川区が大手住宅会社のミサワホーム梶A社会福祉法人さくら会と連携して新しいタイプの高齢者居住施設の計画を進
めています。同区内の荏原市場跡地で計画中の「西五反田高齢者等複合施設」がそれで、同施設は個室型介護施設「ケア
ホーム西五反田」と自立した高齢者対象の住宅「さくらハイツ西五反田」から構成され、(社福)さくら会を運営主体と
し、品川区が土地を提供、ミサワホームが運営コンサルティングと自社の出向スタッフによる運営実務を行うというもの
で、構想発表時は自治体・公益法人・民間企業の3者が連携して介護事業に携わる初の試みとして注目されましたが、このほどモデルルームがオープンしました。
「ケアホーム西五反田」は居住部分は全室個室で居間、食堂、台所が共用のユニットケア方式を採用し、介護の必要度
や痴呆の状態などに応じて、「ケアホーム」内の種類の異なる施設間で住み替えが可能となっています。一方「さくらハ
イツ西五反田」は独居または夫婦の自立した高齢者を対象とした住宅で、介護が必要となった場合には「ケアホーム」に
移住することも可能となっています。品川区では高齢期の住まい方としての区独自の提案として積極的にアピールし、来年4月の入居開始を目指しているとのことです。
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