|||||||||| T O P I C S ||||||||||

◆ 東京都、グループホーム等の整備促進に都有地を提供 ◆
 東京都は、高齢者や障害者のグループホームの整備促進のため、都有地を事業者に定額で貸与することとしました。
 これは「都有地活用による地域の福祉インフラ整備事業」として、都が施設設置を計画する区市町村の要望を受け、該当する区域内に都が所有する土地・建物を選んで貸し出すもので、今秋にも民間企業など整備・運営事業者を公募する予定です。
 民間企業も含めた福祉事業者に対して低額賃料で都有地を貸し付ける試みは都としては初めてのことで、土地の確保が難しい都市部での「地域の福祉インフラ」整備を進めることがねらいです。

都有地活用による地域の福祉インフラ整備事業

対象となる施設 ・痴呆性高齢者グループホーム
・知的障害者生活寮
・重度知的障害者生活寮
・重度身体障害者グループホーム
貸付を行う物件 東京都が所有する未利用の土地・建物
貸付対象事業者 社会福祉法人、NPO法人、民間企業等「地域の福祉インフラ」を整備運営する事業者
 

人口15万人以上で痴呆性高齢者GHのない都市

福島県郡山市、埼玉県川越市、東京都品川区、東京都目黒区、東京都府中市、神奈川県厚木市、東京都渋谷区、東京都荒川区、東京都小平市、千葉県八千代市、東京都三鷹市、東京都日野市、東京都港区、東京都台東区(並びは人口が多い順)

 貸付対象は痴呆性高齢者グループホーム、知的障害者生活寮などを整備運営する事業者とし、都有地のうち約170u〜500u程度の未利用地を、賃料を通常算定される水準から最大5割まで減額して貸し付けることを予定しています。
 対象施設のうち最も需要が多い痴呆性高齢者グループホームについては、都内に現在74か所を数えるのみで、全国の人口15万人以上の市区(東京23区を含め160)で現在痴呆性高齢者グループホーム未整備の市区14のうち、10市区は東京都の自治体であり(上表参照)、65歳以上の高齢者人口に対する整備率も0.03%と全国で最低の水準となっています。
 整備が進まない原因として、東京は他地域に比べて人件費が高いために介護報酬でまかなうことが困難であること、また地価が高く 施設整備コストがかさむこと、が挙げられますが、今回の都の計画は後者の問題に対しての処方となるもので、都有の土地・建物を低廉な賃料で事業者に貸し付けることにより、事業者の参入や施設整備を促進し、あわせて利用者の負担を軽減することを目的としてい ます。また、都はさらに今回の計画を契機として区市町村でも公有地を活用した支援策が拡大していくことも期待しています。


◆ 政府、介護保険制度見直しの1年前倒しを検討 ◆
 政府は7月21日、介護保険制度の抜本的な見直しを当初予定の17年度から1年前倒しし、16年度に実施する方針で具体的な検 討に入りました。制度見直し対象となるのは、施設サービス利用者のホテルコスト(居住環境に要する費用として見積られるもののうち、入所者の個人スペースに係る部分)や食費で、介護の要・不要に関わらず必要となる費用です。
 ホテルコストについては、現行制度では全室個室・ユニットケア方式の特別養護老人ホームに限って徴収されていますが、在宅サービス利用者との公平性の観点からも、所得や資産のある人からは徴収すべきである、との考えから見直しが検討されたものですが、サービス利用者の大幅な負担増をまねく可能性もあることから、政府部内には慎重な意見も少なくないとのことです。食費に関しても、サービス利用者が原則的に負担するのが筋(財務省)との考えから、給付削減が検討されているとのことです。
 今回の検討は、利用者人口の増加とサービスの多様化による給付額の急増が不可避とされる現状がその背景にありますが、利用者の負担増や給付削減にあたっての低所得者への配慮など、課題も指摘されており、予断を許さない状況といえそうです。

◆ 公正取引委員会、有料老人ホームを不当表示の規制対象に ◆
 実際には行っていない介護サービスをパンフレットに掲載したなどとして、この4月に有料老人ホーム事業者3社が公正取引委員会から排除命令()を受けましたが(本紙5月9日号にて既報)、7月24日に開かれた公取委の有料老人ホームの誇大広告規制に関する検討会で、有料老人ホームを指定不当表示の対象にする旨の報告書案が概ね了承され、介護サービスや費用など6項目14種類の不当表示例(下表参照)が盛り込まれたとのことです。公取委は今後、公聴会を開いた上で、来年4月施行をめざすとしています。
 指定不当表示とは消費者に誤認される恐れがあるケ―スをあらかじめ示し、それに違反すれば不当表示として取り締まる制度で、無果汁の清涼飲料水等に関する表示、商品の原産国に関する表示など、現在5項目が指定されています。
  公正取引委員会が過大な景品提供行為や不当な表示を行った事業者に対して出すもので、その行為の差止めなどを命じることをいいます。

<有料老人ホームに関する主な不当表示の例>
(1)居室の住み替え
  ・介護が必要になり、一般居室から介護居室に住み替える際に発生する権利の変更(@部屋の面積が狭くなる A一般居室の権利が
   なくなる B入居一時金が一般居室にいた時と同様に償却(減額)されるなど)が明示されていない 。
(2)介護サービス提供
  ・「終身介護」という表示があっても、心身の状態によっては終身介護をしないことがあるのに、明示されていない 。
(3)費用負担
  ・介護費や居室の利用料以外の管理費などについて費用の使途が明示されていない 。
(4)介護・看護職員体制
  ・介護を行う職員数の中に介護専従の介護・看護職員以外の職員数を加えているのに、専従職員数を明示しない。