介護保険をめぐる最近の報道から

>>>制度見直し案とりまとめ、8月に延期
 厚生労働省は4月26日に開かれた社会保障審議会介護保険部会で、介護保険制度見直し案のとりまとめを当初予定の6月から8月に延期するとの考えを明らかにしました。かねて論議されている「被保険者範囲の拡大(※1)」と「障害者施策との統合(※2)」について、企業・市町村の負担増を懸念する経済界や行政から慎重な検討を望む意見が相次いでいることから、厚労省は制度見直し案のとりまとめを当初の予定より延期し、同審議会障害者部会が6月に出す結論を踏まえた上で、参議院選挙後の8月上旬に行うこととしたものです。(以上参考・福祉新聞5月3日号) ※1:現行の40歳以上を20歳まで引き下げ、収入の増大と安定化を図ろうというものです。 ※2(参考)介護保険制度と支援費制度の比較(16年4月26日 第12回社会保障審議会介護保険部会資料より)
介護保険制度 支援費制度
対象・利用手続き等 サービス対象者 要介護認定を受けた被保険者 支給決定を受けた身体障害者、知的障害者、障害児
サービス対象者の決定手続き 市町村の要介護認定により決定
認定にあたっては第三者からなる認定委員会が審査・判定を実施
市町村の支給決定
サービスの要否の判断 介護ニーズに係る要介護認定基準に基づく判断 定められた勘案事項に基づく総合的な判断(統一的な判断基準は設けられていない)
負 担 費用負担 居宅・施設サービス共通
〔負担〕 国 1/4、都道府県 1/8、
市町村 1/8、保険料 1/2
居宅サービス
〔補助〕国 1/2以内、都道府県 1/4以内、市町村 1/4
施設サービス
〔負担〕国 1/2、都道府県 1/4、市町村 1/4
利用者負担 応益負担(1割負担) 応能負担(負担能力に応じた費用徴収)

>>>介護保険、保険料値上げ後も170団体が赤字 〜日経新聞調査による〜

 5月3日の日本経済新聞によると、介護保険を運営する市町村や広域連合組織のうち、15年度の保険料改定後も収支が実質赤字となった団体が170にのぼることが同紙の調査で判明したとのことです。
 介護保険料は3年ごとに改定されることとなっており、第二期(15〜17年度)の初年度にあたる昨年度は65歳以上の保険料が全国平均で13.1%引き上げられましたが、今回の同紙の調査は依然として収支の改善が進んでいない状況を改めて浮き彫りにしています。

>>>介護サービス事業所に対する第三者評価を義務づけ
 
 厚生労働省は10日、すべての介護保険サービス提供事業者に対し、第三者評価の受審とその評価結果に関する情報公開を義務づける方針を発表しました。これは「介護保険サービスの質の評価に関する調査研究委員会」がまとめた中間報告書をふまえたもので、報道によると、評価は「基本情報項目(職員数など事業所が報告する基本データ)」と「調査情報項目(運営やサービス提供の状況について、各都道府県が認定する評価機関が調査・確認する項目)」との70程度からなり、「調査情報」については年1回程度、各都道府県が認定する評価機関が評価項目について各事業所を調査することが適当としており、調査は専門の研修(※)を受けた評価調査員が2人一組で2日間をかけて行うこととしています。評価の費用は事業所が負担し、金額はすでに評価受審が義務づけられている痴呆性高齢者グループホームの場合と同水準の6万円程度を軸に検討されるとのことです。
 厚労省は今年度のモデル事業実施を経て、18年度以降に順次義務化を進めてゆく方針です。
※先に厚生労働省が示した方針では、各都道府県が評価調査員の養成を行うこととされています。