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◆ 独立行政法人福祉医療機構、民間金融機関と協調融資 ◆
〜 特別養護老人ホームなど対象・第一弾として東京三菱・三井住友と 〜

  
 社会福祉法人が施設整備を行う場合、自己資金、国庫補助金以外の資金調達方法の代表例として、独立行政法人福祉医療機構からの融資が挙げられます。同機構は財政投融資資金を主な財源として融資を行いますが、財政投融資改革を受けての融資枠の縮小、さらに社会福祉法人に対する補助金の削減が今後予想される中で、社会福祉法人の新たな資金調達手段として、同機構ではかねて民間金融機関の活用が課題とされてきました。 
 また、小規模生活単位型特別養護老人ホーム(個室・ユニットケア方式のいわゆる新型特養)整備に対する同機構の融資率が、17年度から80%に引き下げられる()ため、17年度以降に当該施設の整備を予定している社会福祉法人は、融資率の引き下げに伴う同機構からの借入金の減額相当分を自己調達しなければならなくなります。( 現行の「融資額=(実支出額−国庫補助額)×90%」が「融資額=(実支出額−国庫補助額)×80%」に)
 
こうしたことから、同機構では社会福祉事業施設に対する民間金融機関との協調融資(併せ貸し)のしくみをまとめ、このほど東京三菱・三井住友の両行と事務手続きに関する覚書を締結しました。同機構が民間金融機関と業務提携を行うのは初めてとのことです。協調融資の対象は「社会福祉法人が行う老人福祉法に規定する老人福祉施設の整備事業」で、同機構によると、今のところ制度適用の範囲を他の種別に拡げる予定はないとのことです。 
 今回の協調融資は、当該施設整備にあたり、同機構が行う融資と併せて民間金融機関も融資を行うというもので、貸付および貸付条件の決定については、同機構と民間金融機関がそれぞれ独自の審査基準に基づいて行います。しくみを図示すると以下のようになります。

 締結された覚書の概要は、社会福祉法人が特別養護老人ホーム等の整備に民間金融機関の融資を利用する際、同機構が保有する特別養護老人ホーム等のデータを当該金融機関に提供し、また相互に情報交換を行うことによって融資の事務処理を円滑に行えるようにする、などとなっており、覚書を締結した金融機関は社会福祉法人からの融資相談等に積極的な対応を行うこととされています。民間金融機関からの社会福祉法人に対する融資実績が少ないことから、同機構と民間金融機関が情報交換を行うことで、社会福祉法人による民間金融機関からの資金調達の促進をめざしたものです。

 社会福祉法人が融資を受けるために基本財産を担保に供する場合は所轄庁の承認が必要となりますが、これについて厚生労働省の社会・援護関係主管課長会議資料(16年3月2日)の中では、国・地方自治体からの十分な額の助成が見込めない、基本財産以外に処分しうる財産がないなどの理由から民間金融機関からの融資を受ける場合の承認の取扱いについて「別途お知らせすることとしたい」とされており、今回の発表を受けて、今後何らかの通達等が発出されるものと思われます。
 8月3日に公表された規制改革・民間解放推進会議(旧・総合規制改革会議)の中間とりまとめの中では介護施設の施設整備補助廃止について言及されており、「16年度中に結論、17年度中に措置」とされています。今回の協調融資制度とあわせ、今後の動きが注目されるところです。(参考:日本経済新聞8月5日付朝刊・独立行政法人福祉医療機構ホームページ)
 
 本件については、独立行政法人福祉医療機構ホームページ内の下記のURLからご覧になれます。制度に関する詳細のほか、同機構と金融機関が締結する覚書のひな形も掲載されています。
   本件トップページ:http://www.wam.go.jp/wam/gyoumu/fukushikashitsuke/main_05.html