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◆ 公務員給与、6年ぶりの下げ止まり ◆
〜 実績反映型給与制度への転換提言も・平成16年度人事院勧告 〜
 
 人事院は8月6日、16年度の一般職国家公務員の給与に関する勧告を内閣と国会に提出しました。社会福祉施設に支弁される措置費・運営費のうち、人件費の積算根拠として勧告の中の「福祉職俸給表」が用いられていることから、勧告の動向によって措置費・運営費の額が変動します。また、社会福祉施設ではこの「福祉職俸給表」にしたがって各職員の給与額が設定される例が多く、その意味でも注目されています。
月例給、ボーナスとも前年水準維持
 月例給は2年連続、民間でいうボーナスにあたる期末・勤勉手当を含めた年間給与は5年連続で引き下げられてきましたが、今回の改定で「(月例給)官民較差が極めて小さく、俸給表改定が困難であること、諸手当についても民間の支給状況とおおむね均衡していること等を勘案(給与勧告の骨子より)」「(ボーナス)民間の支給実績と公務の支給月数 とはおおむね均衡(同)」として、ともに前年水準を維持しました。この結果、公務員の年収は6年ぶりに下げ止まることになりました。近年の給与勧告の推移は表をご参照下さい。
 一方で、地域の公務員給与の見直しの一環として寒冷地手当を大幅に見直し、支給地域を北海道および北海道と同程度の気象条件が認められる本州内市町村に限定、市町村数の4割強、職員の約半数を支給対象から除外したほか、支給額も約4割引き下げています。
実績反映型給与制度への転換、適正な給与の地域間配分を提言
 また、勧告とあわせて提出された報告では、普通昇給と特別昇給を廃止し、旧来の年功序列的な昇給制度を勤務実績の評価などに基づいた「査定昇給」に転換すること、俸給表の全体水準を一律に引き下げた上で、都市部など民間給与水準の高い地域で手当を厚くするなどにより、地域に応じた適切な給与調整を実現することなどを提言しています。
 
《人事院勧告》
  国家公務員は争議権や団体交渉権など労働基本権が制約され、民間のように労使交渉で給与を決定できないために、 それらの代償措置として、人事院が民間と国家公務員の給与水準を比較検討し、双方の給与水準の均衡を図るべく、給 与の改定内容を内閣と国会に提出(勧告)する制度。地方自治体もこれに倣うことが多いため、結果的に公務員全般の 給与水準を決める役割を果たす。1948年開始。「人勧(じんかん)」と略称される。
ベースアップ 期末・勤勉手当合計 備考
平成10年度以前 5.25ヶ月
平成11年度 一部あり 4.95ヶ月 年収1.5%減
平成12年度 なし 4.75ヶ月 年収1.1%減
平成13年度 なし 4.70ヶ月 年収0.2%減
平成14年度 ダウン 4.65ヶ月 年収2.3%減
平成15年度 ダウン 4.40ヶ月 年収2.6%減
平成16年度 なし 4.40ヶ月 前年水準維持

◆ 全国知事会、削減補助金リストを決定 ◆
〜 私立保育所運営費など3兆2,284億円 〜

 
 小泉政権による構造改革の柱石を担う「三位一体の改革」をめぐり、国庫補助・負担金の削減リスト案をまとめるべく新潟市で行われていた全国知事会(会長:梶原拓岐阜県知事)の会議で、削減すべき3兆2,283億円のリストが決定されました。  リストには、義務教育費8,504億円のほか、私立保育所の運営費など経常的負担金6,437億円、社会福祉施設などの施設整備費補助金5,712億円、私学助成など奨励的補助金5,741億円などが盛り込まれており、今後は同会や全国市長会など地方6団体間の調整を経て政府に提出されたのち、経済財政諮問会議で議論され、今秋にも税源移譲を含めた全体像がまとめられる予定とのことです。今後は関係省庁による巻き返しの動きも予想され、引き続き注目されます。 (16年8月19日付毎日新聞夕刊による)