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◆ 厚生労働省、障害者施策を抜本的見直しへ ◆
〜 地域での生活を支援、ケアマネジメント制度など創設へ 〜

 厚生労働省は、障害者政策をこれまでの施設入所重視から地域生活支援へと転換し、障害者が希望に応じて地域での生活の場を選び、暮らしてゆくことを基本とすべく、身体・知的・精神障害者向けの関連法を一体的に改正する方針を明らかにしました。17年の通常国会に改正案を提出し、21年までの段階的な実施を目指すとのことです。 
 障害者政策においては、かねて「ノーマライゼーション(障害者や高齢者であっても、社会の中で他の人々と同じように生活し、活動できることが社会の本来あるべき姿であるという考え方)」の理念が掲げられている一方で、知的障害者は全国約46万人のうち3割(約12万人)が入所施設での生活を余儀なくされ、精神障害者も33万人以上が精神病院の中で暮らしている(※)現状があります。報道によると、厚労省は今回の見直しでは障害者の地域での生活の支援を主眼として精神保健福祉法や身体障害者福祉法、知的障害者福祉法などを抜本的に改正する方針であるとのことです。※ 毎日新聞16年7月8日号による 
 具体的には、生活全般の支援計画を立てるケアマネジメント制度を創設し、就労支援やホームヘルパーの派遣など障害者の生活全般について専門家が一人ひとりの計画を立てることとするほか、機能訓練などを行うデイサービスを増やし、そのために公民館や小学校の空き教室といった社会資本を有効利用することも視野に入れられています。また施設入所者についても、日中はデイサービスに通うなどによって社会とのかかわりを持てるよう配慮するとのことです。 
 このほか、精神障害者については市町村が実施主体となってホームヘルプやデイサービス事業などを行えるようにし、また現行では社会福祉法人に限られている身体・知的障害者の通所施設の運営を、精神障害者と同じくNPO法人などにも認める方針です。(以上参考:朝日新聞16年9月16日号)

◆ 介護保険「統合」、若年要介護者は約38万人 ◆
〜 障害者施策との統合による新たな受給対象者・厚労省推計 〜

 介護保険制度改革の最大の論点の一つとなっている障害者施策との統合について、厚生労働省の社会保障審議会介護保険部会は21日、被保険者の範囲を拡大した際に新たに受給対象となる18〜64歳の「若年要介護者」を約38万人とする推計値を示しました。
 介護保険の被保険者は、現行では65歳以上の要介護(要支援)者(第1号被保険者)と、 40歳から64歳までの老化に伴う疾病(※1)に起因する要介護(要支援)者(第2号被保険者)、あわせて6,805万人で、このうち実際にサービスを受給している人(受給者)は303万人となっています。被保険者層の拡大を行う場合、範囲を20歳以上とした場合には10,302万人(51%増)となり、新たに受給者となる「若年要介護者」は身体障害者10.8万人、知的障害者20.5万人、精神障害者2.7万人、一部の難病患者や末期がん患者など、いわゆる制度の谷間(※2)にある人3.5万人、計37.5万人と推計されています。
 21日の同部会で配付された資料の中では、被保険者・受給者の範囲拡大の意義として @介護保険制度の普遍化・介護システムの一元化 A年齢や障害種別を越えたサービス利用や地域ケアの推進 の2点を挙げ、「今後、高齢者や障害者が住み慣れた地域で生活を継続できる「地域ケア」を推進し、地域密着型サービスを生活圏域単位で展開することにより、年齢や障害等の区分による制度の縦割りは意味を失っていく」「介護保険制度の被保険者・受給者範囲の拡大は、こうした方向性に合致するものであると考えられる」としています。
 厚労省は次回の会議で、範囲を拡大した場合の給付総額や1人あたりの保険料などの試算を示す予定とのことです。

※1 ALS、慢性関節リウマチなど15の特定疾病
※2 介護が必要であるにもかかわらず、対象年齢に達していないため介護保険制度の対象とならず、かつ障害者に該当しないために障害者制度の対象にもならない人。こうしたケースのうち、40〜64歳までの人については、介護保険料を払っているにもかかわらず給付が受けられないという状態にある。(以上参考:朝日新聞16年9月21日号、第17回社会保障審議会介護保険部会(16年9月21日)資料)