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◆社会保障給付 少子化対策を重視へ 〜 高齢者からシフト 〜◆ 
◇社会保障制度の一体的な見直しを検討する「社会保障の在り方に関する懇談会」は、高齢者に給付が厚い現在の社会保障制度を見直し、少子化対策を重視した制度に転換するよう求める論点整理を発表しました。
 論点整理では、社会保障制度見直しの基本的な考え方として「年金・医療・介護など個々の制度のみならず、全体を見通して一体的な見直しに取り組まなければならない」とし、@経済・財政との関係 A雇用問題 B少子化対策――を基本課題に挙げました。
 大筋一致した項目として少子化対策の必要性を掲げ、少子化が社会保障だけでなく経済・社会全体に大きな影響を与えることに言及、政府が取り組む最優先事項の一つに位置づけました。そのうえで過去の少子化対策の効果を検証し、効果の高い政策への財源の集中を提唱、財源については政策の取捨選択や高齢者給付の削減などを通じて捻出すべきとしました。また、取組みの視点としては「働きながら生み育てやすい雇用・就労環境に作り変えることが必要」とし、企業や国民の意識改革や、結婚・家庭などに対する社会規範の変革を進めるよう求めています。
 雇用問題については、「社会保障の支え手を増やし、給付への依存を減らすには、意欲と能力のある人が働けるようにすべき」とし、高齢者や女性の就業を促進すること、フリーターなどの若年者雇用問題への集中的な対策を講じるよう求めました。
 医療制度改革については、「様々な給付適正化対策に総合的に取り組む必要がある」との点で概ね一致、人口の高齢化で膨らむ給付費の抑制が重要との考えを示しました。高齢者医療に関しては、「新たな制度の構築を真剣に検討すべき」と明記されています(社会保障審議会において、新たな高齢者保険制度を2008年度に創設する方向で本格議論に入りました)。
 介護保険については、「予防重視型システムへの転換や、在宅と施設のサービス間の不均衡の是正など給付を効率化・重点化し、持続可能な制度にすることが適当であり、改革を早急に実施すべき」とする方向で意見が一致、このほか論点では、自己負担割合の引き上げ、被保険者・受給者範囲の拡大があり、賛否両論がありました。
 論点整理では各個別制度の見直しの方向性についても言及、公的年金の一元化については「将来的な選択肢の一つ」としながらも、その進め方については意見が分かれました。また、社会保障の給付費の抑制策についても、名目GDP(国内総生産)生長率など何らかのマクロ指標で管理すべきとの意見と、数量目標による管理手法は望ましくないとする意見に分かれました。
 今後の社会保障の役割や規模、給付の伸びの抑制に向けた具体的な方策をめぐっては、意見が分かれる部分が多く、今後議論が活発になりそうです。                        (参考:2005年5月17日日本経済新聞、5月23日福祉新聞)
 
◆第三者評価新指針“保育所版”発出 〜介護サービスは「情報の公表」施行に向け、検討が加速 〜◆ 
◇福祉サービス第三者評価については、既報のとおり昨年5月発出の厚労省3局共通通知によって指針が示され(「新指針」と
呼ばれる)、各都道府県において評価機関認証、評価基準策定、評価者養成などを行っていくこととされていますが、このほど保育所に対する第三者評価について、5月26日に雇用均等・児童家庭局及び社会・援護局2局共通で課長通知が出されました。
内容は、既存の新指針の用語や文言を一部保育所向けにアレンジするとともに、保育サービス分野に関する付加項目(保育所旧指針(平成14年発出)から抜粋)を足したもので、いわば「新指針保育所版」といったものとなっています。今後は各都道府県において、保育所の第三者評価についてはこの「新指針保育所版」が評価項目のひな型となることが予想されます(※)が、厚労省保育課によると「あくまでも「技術的助言」であり、どのように参考にし、運用するかは都道府県の判断に任せる」とのことです。
(※)評価制度が本格的に稼動していない県においては、他県の評価機関による旧指針準拠の評価であっても「適切な評価」とみなされる場合  もあります。特に弾力運用要件として評価受審を考えている施設の場合、所在の県の評価制度の状況のリサーチがまず必要となります。
◇一方、来年度から施行され、実施可能なサービスから順次義務化されることとなっている「介護サービス情報の公表」(情報開示の標準化・本紙04年7月9日号にて詳報)は改正介護保険法の中にも盛り込まれ、このほど国や都道府県、シルバーサービス振興会(モデル事業を実施)などが参画する「『介護サービス情報の公表』制度施行準備・支援協議会(仮称)」が6月にも発足することとされました。このほか、5月13日に行われた担当課長会議においては、すでに受審が義務化されている認知症高齢者グループホーム外部評価も、将来的にはこの「情報の公表」に統合する方針であることなども示されています。