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職員の処遇改善に取り組む介護事業者を助成
〜追加経済対策〜 ◇
◇政府・与党の追加経済対策が4月10日に発表されました。財政支出15兆4,000億円、総事業費56兆8,000億円と経済危機対策としては過去最大
規模となる今回の施策は@経済の「底割れ」を防ぐための雇用や金融における緊急的な対策A中長期的な成長に向けた、新たな経済成長戦
略をふまえた緊急施策B国民の「安心と活力」実現に向けた各分野における政策の総動員 の三つの柱を掲げ、GDP(国内総生産)の実質成
長率2%程度アップ、年間40〜50万人の雇用創出効果を見込んでいるとのことです。
◇このうち特に福祉に関連するものとしては
《介護分野》
・介護分野へ就労を促進し、人手不足の解消を図るため、介護職員の処遇改善やスキルアップの取組を行う事業 者に対し、一人あたり平均月
額15,000円の給与引き上げに相当する金額を助成(国費約4,000億円を財源として都道府県が基金を設置「介護職員処遇改善交付金(仮称)」
として、21年10月から2年6か月分を計上)
・現任介護職員等の研修支援や離職者等への無料の職業訓練、職場紹介と定着支援、地域での相談支援体制整備 など、福祉・介護人材の
キャリアアップ支援
・介護施設や地域介護拠点の整備に対する助成及び融資の3年間拡大(特別養護老人ホーム入所待機者の解消に向けて、約16万人分の特別
養護老人ホーム・グループホーム・小規模多機能事業所などを整備)
・社会福祉施設等の耐震化・スプリンクラー整備、施設に対する優遇融資拡充等
・特別養護老人ホーム等への整備転換等に対する財政支援
《子育て支援分野》
・安心こども基金(1,000億円)に1,500億円を追加、借上げ方式で保育所を設置する場合の賃借料補助を拡充、併せて自治体負担の軽減を行う
ことで、平成22年度までに15万人分の受入れ体制整備をめざす。(「安心こども基金」「借上げ方式で保育所を設置する場合の賃借料補助」に
ついては総福研FAXNEWS21年3月6日号もご参照ください)
《障害者福祉分野》
・事業者の新体系移行を促進するため、新体系サービスで必要となる改修、増築等の基盤整備の促進及び運営の安定化
・福祉・介護人材の処遇改善やスキルアップの取組を行う事業者への助成(再掲)
・離職者等への職業訓練、現任介護職員等の研修支援など、福祉・介護人材のキャリアアップ支援(再掲)などが挙げられています。
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厚労省「保育所における自己評価ガイドライン」発表
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◇先の4月定期研修会でも採り上げさせていただきましたが、厚生労働省はこのほど、保育所が保育の質の向上等を目的に行う自己評価のため
のガイドラインを発表しました。平成20年3月に改定・告示され、この21年4月から施行されている「保育所保育指針(下記参照)」の中では、保育
士等及び保育所の自己評価とその結果の公表が努力義務として位置づけられており、保育の質や保育士等の専門性の向上を図るとともに、
保護者や地域社会に対して当該保育所の行う保育の内容を適切に説明するよう努めることとしています。
◇ガイドラインはこれをふまえ、自己
評価における理念や実際の取り組み方を示したもので、自己評価の観点として@保育理念A子どもの発達援助B保護者支援C保育を支える
組織的基盤の4点を定めており、各保育所がPDCA(計画・実践・評価・改善)の循環の継続によって組織的に保育士等の専門性や保育所とし
ての保育の質を向上させていくことや、保育士間での実践の振り返り、記録やビデオ等の資料をもとにした検証、第三者評価等の既存の評価項
目を用いた手法などを通じて保育所が自ら評価項目を導き出し、それに基づいた自己評価を一定期間ごとに行うことなどを求めています。
◇ガイドラインでは「本ガイドラインを踏まえ、第三者評価についても改善を進めていく予定」としており、今後の動向が注目されます。
【用語解説】保育所保育指針
児童福祉施設最低基準(昭和23年厚生省令第63号)第35条の規定に基づき、保育所における保育の内容や関連する運営についての事項を定めたもの。各保育所は指針の規定をふまえて創意工夫を図り、保育所の機能及び質の向上に努めなければならないとされる。