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◇基金創設による介護事業者への助成 追報◇
 
○前回のFAX NEWSでは、介護分野で働く職員の待遇改善のために国が4,000億円を拠出して、都道府県に基金を創設することをお知らせ致しました。今回は、その背景について、追加情報としてお示し致します。 
 介護事業者に対しては、この4月に介護報酬が改定され、「収入増」とされたばかりでした。介護報酬は3年おきに見直しが行われ、今年の4月の改定は、2000年4月からの介護保険制度開始から、3回目の見直しにあたりました。過去、2回の改定はいずれも▲2.3%、▲2.4%のマイナス改定でした。介護報酬のマイナス改定による収入減を理由に介護従事者の平均給与も低下し続けていました。ちなみに、2001年では、全産業の平均年収4,216千円に対し介護・福祉従事者の年収は3,830千円で90%程度でありました。それが、2007年では同、3,964千円に対し2,852千円と70%台に落ち込んでいました。他の産業と比べて離職率が高いのは、こうした処遇が理由の一つとされ、介護従事者の人材確保が困難になり、悪循環となっていました。
 今回はこのような実情を踏まえて、介護報酬が3.0%のプラス改定とされました。ただ、実際には、この3%の改定だけでは、介護従事者の給与アップにはならず、事業者の赤字補填などにまわるだけとの指摘があり、今回の基金創設は、こうした指摘を背景に、介護報酬とは別枠で、追加経済対策の一環として打ち出されたとされています。                                       (以上参考 月間福祉4・5月号)
 
◇裁判員制度開始による人事管理対応と日当の税法上の取り扱い◇
 
○ご承知のとおり5月21日から裁判員制度がスタートします。これは、国が進めた司法制度改革として、裁判官と国民から選ばれた裁判員が、協働により国民の理解しやすい裁判を実現することを目的としているものです。
▼国民の義務とでもいうべき裁判員に従業員が選任された場合に備えて、事業所は人事制度の整備・支援が必要と言われております。裁判員としての参加期間が3〜5日程度とのことですが、この職場を離れる期間に対して、特別休暇を付与して、従業員の負担にならぬよう配慮しようというものです。これは、通常の有休休暇の枠外で特別休暇の取得を認めるものです。このような特別休暇は、慶弔や公民権の行使などにより、会社を休む時に取得が認められ場合に多く見受けられます。特別休暇を制度化し就業規則に織り込む例を下記にお示し致します。
≪就業規則記載例≫
(特別休暇)
第〇〇条 職員が次の各号の一つに該当しあらかじめ届け出て所属長の承諾を受けた場合に特別休暇を与える。
(1)結婚したとき            5日
(2)・・・・             
(3)裁判員として選任された場合     必要な日数
 もちろん、通常の有給休暇の枠内で対応したり、通常の「労働」をしていない以上、無給(欠勤控除)とすることも可能です。ただし、積極的に裁判員に選任されることを望む人が少ないことや、この裁判員制度が適用されるのは、殺人などの重罪などの場合であり、これによる心理的負担が大きいことから、従業員への配慮上、有給消化や無休という「不利」な扱いは酷であるとの声もあります。
▼裁判員に選任された場合、日当が支払われます。この日当は、裁判員の職務に対する報酬ではなく、裁判所に行くことや裁判員の職務を行うに当たって生じる損害(例えば、裁判所に来るための諸雑費や一時保育料等の出費や収入の減少など)の一部を補償するものです。そのため,裁判員に支払われる日当に係る所得は、給与所得及び一時所得のいずれにもあたらないことから、裁判員等の「雑所得」として取り扱われます。したがって,裁判所では源泉徴収は行いません。給与を1か所から受けていて、年末調整が済んでいるときは、この日当による雑所得の金額など各種所得金額(給与所得と退職所得を除きます。)の合計額が20万円以下の場合、所得税の確定申告を行う必要はありません。                                                                      (国税庁ホームページから抜粋)
 
この度人事院では、昨年来の景気の急激な悪化を受けて、例年5月から行う職種別民間給与実態調査とは別に、民間企業の夏季一時金に関する特別調査を実施しました。これは、公務員の6月の特別給(期末手当・勤勉手当)の支給前にその実態を把握するためとされています。調査の結果、産業間のバラつきや未決定企業が多いことから、今後の状況にあわせて変動する可能性も含め、特別措置として、6月の特別給は▲0.2月の「凍結」とされました。(当初予定の2.15月→1.95月)人事院勧告は社会福祉法人に従事する職員の給与・賞与基準や、保育単価に影響するものであり、今後も注視が必要です。