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◇人事院勧告、月給・ボーナス引き下げへ◇
 
 ◆人事院は8月10日、国家公務員一般職の月給とボーナスをともに引き下げるよう、内閣と国会に勧告しました。人事院勧告は公務員と民間企業の給与水準とを均衡させることを目的に行われるもので、公務員と民間企業それぞれの4月分の給与(月例給)・特別給(ボーナス)を精密に比較し、公民格差に基づいて公務員給与の改定を行うことを目的としています。

『今年度勧告のポイント』 
@民間よりも高い40歳以上の月給0.1%減額し、本年度中に56歳以上になる  職員は一部を除きさらに1.5%の引き下げ A期末・勤勉手当(ボーナス)の0.2ヶ月引き下げ(4.15ヶ月⇒3.95ヶ月) B2013年度から定年を段階的に65歳までの延長

この勧告が全面的に容認されるか否かは未定ですが、これまでの歴代内閣はほぼ例年、完全に実施してきました。今年度も認められれば、モデルでは一般行政職の年間平均給与は9万4千円減の633万9千円となるとされています。一方で今年度勧告における給与月額のマイナス改定は40歳以上の職員が対象であり、保育単価に積算されている保育士の給与月額は勤続年数8年程度(28歳前後)が算定されていると言われています。改定俸給表(福祉職俸給表)を確認したところ、 ○施設長 253,400円(福祉職俸給表2-33) ○主任保育士 225,600円(同2-17)+2%(特別給与調整費) ○保育士 191,400円(同1-29)+2%(特別給与調整費)        (以上、特殊業務手当分除く) という内容で、今年度当初単価における積算額との変化はありませんでした。したがいまして保育所運営費への影響は、単純に0.2ヶ月分の期末・勤勉手当の部分と考えられ、勧告がそのまま保育単価に反映された場合、概算で配置職員1名あたり年額4万円〜5万円程度の減額になると予想されます。ただし年度後半には入所児童増加などによりマイナス分が補完される可能性が高いことなどから単純な計算はできませんが、補正予算の立案に向けて今後の動向や新保育単価に対する注視が必要です。

◇介護報酬を過払いを指摘◇
 
◆厚労省は7月29日の社会保障審議会介護給付分科会で、群馬、埼玉、広島、佐賀の4県で特別養護老人ホームへの介護報酬が過大に支払われていた、と報告しました。自治体側が国の基準とは異なる解釈をして算定しており、対象は計9施設、老人保健施設では9都県26施設の過払いがあったそうです。  同省は2003年度以降に新設した特養を対象に、ユニット型個室を併設する場合は低い水準の報酬を適用するという解釈を通知、同基準を2005年10月以降の老健の新設にも適用しました。こうした介護報酬の算定は都道府県が判断しますが、今回過払いが報告された都県ではいずれも高い水準での報酬を適用していたとのことです。しかし一部の自治体は料金が割高の個室型では低所得者が利用しにくくなるとして「低所得者が利用できる相部屋の併設を認めるべき」と主張し、個室化を進める国側の方針と現在も対立しています。また同省は同日、特養の個室の面積基準を緩和することを決めています。現行の個室面積基準は1人あたり13.2uですが、これを相部屋1人当たりの基準と同じ10.65uまで引き下げることで、同じ施設面積でも定員を増やすことができるうえ、引き下げによる建設コストとそれに伴う借入利息の減少により、1施設当り約4,760万円が削減され、1人当たりの月額利用料を約2,880円軽減することが可能と試算しています。今後は9月にも省令改正・施行に踏み切る予定です。               (参考:福祉新聞8月9日)

◇保育所運営法人の評議員会設置義務、適用除外へ◇
 
◆政府は昨年12月にまとめた「明日の安心と成長のための緊急経済対策」に対応した構造改革特別区域提案への対応結果を公表しました。この中で、保育所 のほかに一時預かり事業や地域子育て支援拠点事業を行っている社会福祉法人に対する、評議員会設置や区分経理の義務を見直すこととされました。  評議員会は、現在でも保育所のみを行っている法人には設置義務がなく、以前は一時預かり事業や地域子育て支援拠点事業を行っていても、これらが社会福祉事業ではなかったために、評議員会を設置することは求められていませんでした。また経理区分の設定も「定款に定める事業」に限って設定することとされているため、区分経理の必要はありませんでした。  平成21年の社会福祉法及び児童福祉法の改正により一時預かり事業及び地域子育て支援拠点事業が第2種社会福祉事業に位置づけられたことに伴い、保育所を経営する社会福祉法人が一時預かり事業及び地域子育て支援拠点事業を実施する場合には、評議員会設置と区分経理について3年の猶予期間付きで義務付けられました。しかし評議員会の設置や区分経理は、評議員の確保や事務作業などの負担が増えることから、一時預かり事業や地域子育て支援拠点事業を止める動きも出始めていたことを受け、平成22年度中にも評議員会の設置と区分経理の義務について除外することとされました。  (参考:遊育8月9日)

◇障害児の受入事業要件緩和へ◇
 
◆これまで構造改革特別区域の認定を受けた地域において障害者、障害児が障害者自立支援法による生活介護もしくは自立訓練等を利用することが困難な場合に限り、介護保険法による指定小規模多機能型居宅介護事業者がサービスを提供することができることとされていました。本年6月1日の改正により、地域において生活介護が提供されていないなど、生活介護を受けることが困難な障害者、障害児に対し、特区認定を受けずに指定小規模多機能型居宅介護事業者がサービスを提供することとされたものです。なお生活介護に係る報酬については、その際に新たに単価を設定することとされています。