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◇「一部ユニット型」指定介護老人福祉施設、多床室と個室を別指定に◇
厚生労働省は9月6日、社会保障審議会(社保審)の介護給付費分科会に、従来型多床室とユニット型個室を合築した指定介護老人福祉施設などの「一部ユニット型施設」について、「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準について」における「一部ユニット型施設」という類型を廃止し、今後は従来型多床室とユニット型個室の合築施設について、それぞれを別施設として指定。ユニット型部分にはユニット型としての介護報酬を支払うなどとする案を示しました。21日に開催予定の次回会合で意見の取りまとめを目指しています。 従来型多床室とユニット型個室を併設した「一部ユニット型施設」をめぐり国は、2003年4月2日以降に開設された指定介護老人福祉施設(介護老人保健施設は05年10月2日以降)を、「一部ユニット型施設」と認めない内容の解釈通知を出し、ユニット型部分にも従来型の低い介護報酬を算定するよう求めています。しかし国の解釈とは異なり、従来型多床室とユニット型個室を併設した「一部ユニット型施設」を新設した11都県で、4月2日の基準日以降に開設された合築施設であっても「一部ユニット型施設」と認め、ユニット型部分にユニット型としての高い報酬を算定しており、混乱が生じていました。 この日の会合で厚労省が示した案では、今後もユニット型施設の整備を推進する方針は堅持するとしつつも、一部ユニット型施設に係る規定については、混乱が生じることがないよう整理・明確化を図るとし、従来型多床室とユニット型個室を合築した「一部ユニット型施設」の類型自体を廃止。それぞれを別施設として指定を行うとしました。こうした方向性は通知ではなく、省令に明記する方針です。 また、基準日以降に開設された合築施設の介護報酬については、ユニット部分について個室ユニットケアが行われていることを前提に「返還を求めないという判断も可能」としました。 顧問先で指定介護老人福祉施設や介護老人保健施設の一部ユニット型施設を運営されている法人様がいらっしゃいましたら、右図のように経過期間・経過期間後で、介護報酬の単価が上がる可能性もありますので、今後の推移を注意深く見ていく必要があります。 (参照:医療BCニュース9月6日、WAMネット、厚生労働相HP) ◇「キャリア段位」検討本格化◇ 非正規社員の待遇の底上げを目指す政府の「実践キャリア・アップ戦略推進チーム」は8月31日、介護、保育、環境など成長分野で働く人を対象とした職業能力制度「キャリア段位」の導入に向けた本格的な議論を始めました。 「キャリア段位」とは分野ごとの実践的な職業能力を客観的に評価する制度で、企業で働きながら業界横断的な職業能力の段位を取得できるのが特徴です。イギリスが1986年に創設したものを参考にし、政府は6月にまとめた「新成長戦略」で21の国家戦略プロジェクトの一つに位置付けています。 「第1次プラン」の候補になっているのは、「介護・ライフケア」「環境エネルギー」「食・観光」などの成長分野で、9月中に導入する3、4分野を決定し、分野ごとに作業部会を設け、年内を目処に制度の具体案をまとめる方針です。作業部会の検討の進行状況によっては、早ければ2011年度内での制度の導入を視野に入れています。 具体的な検討事項として「段位の数やレベルの設定」「具体的な評価方法」「教育システムと具体的連携方法」「既存制度との関係整理」などがあげられていますが、現状ではまだ何も決まっていない状況です。 「キャリア段位」の導入のされ方によっては、運営に大きな影響を及ぼす可能性がありますので、候補にあがっている介護・保育の施設を運営をされている法人様の顧問をされている会計事務所様にとっては、動向が気になるところです。 (参照:共同通信・日本経済新聞8月31日、首相官邸HP 内閣官房・国家戦略室HP) ◇地域移行、重要課題に 〜障がい者制度改革推進会議総合福祉部会〜◇ 政府の障がい者制度改革推進会議総合福祉部会は、障害者自立支援法に替わる障がい者総合福祉法(仮称)の制定に向けて、実効性ある「地域移行」を重要な課題にして議論を進めています。議論は障害者権利条約を基に推進会議がまとめた意見をベースにしており、「地域で生活する権利」の保障が重要な課題になっています。 地域移行を巡って部会では、どこで誰と住むかを選択できるようにするための福祉サービスの充実が必要としました。具体的には地域での暮らしが可能となる基盤・資源の整備、相談支援、公的保証人制度、地域移行支度経費支援等です。また、地域移行を確実にするためには法定化が必要としています。地域移行を進めるに当たっては、「具体的な期限や数値目標、プログラムなどを設定しなければ進まない」という意見をもつ構成員が大勢を占めています。 入所施設については、重要な社会資源との意見がある一方で、居住機能、福祉的支援等を地域の中で提供できるようにしていくべきという意見もあります。大枠では「地域生活を可能とするための資源整備にこそ力を入れるべき」という点で一致はしていますが、施設待機者や現に入所・入院している人のニーズを把握するための実態調査が必要との意見もあがっています。 地域移行の方向性に進む流れにはあるようですが、意見が分かれている部分もあり、特に入所施設の動向に関しては目が離せません。(参照:福祉新聞9月6日)
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