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◇特養に民間参入など10項目の規制緩和、総合特区法案 ◇
 
 ◆政府は15日、地域を限定して規制緩和や財政支援を行う「総合特区」制度創設のため「総合特区区域法案」を閣議決定しました。この特区は、規制緩和や税制上の優遇措置をとることで、国際競争力の高い産業を育てる「国際戦略総合特区」と、地域の先進的な取り組みを支援する「地域活性化総合特区」の二つに分類しています。後者の中では、民間企業による特別養護老人ホーム(以下「特養」と表記)の設置を老人福 祉法の特例として認め、PFI法に規定する企業が都道府県知事の認可 を受けて設置できるようにすることが挙げられており、民間参入を促 して深刻化する「施設不足」の解消につなげることがねらいです。
 特区申請手続きの流れとしては、まず都道府県(自治体)が申請して 政府が地域を指定し、その後指定を受けた自治体において事業者等が 自治体に認可申請を行う流れです。認可に際しては「区域内の入所定 員総数が必要入所定員総数を下回る」など特別養護老人ホームが不足 していることを条件とした上で右記の審査が義務付けられます。
 総合特区の特例措置としては、このほか税制の優遇策として特区内 の企業が機械や設備を新たに取得したとき、法人税を減税する仕組み を導入し、貧困や森林再生などの社会問題に取り組む中小企業に出資 した個人が、所得控除を受けられる制度もつくります。当法案が今国 会で成立すれば、政府は7月にも総合特区を指定する方針です。
 前述のとおり今回の総合特区による規制緩和は、社会福祉法人以外 の者が第1種社会福祉事業に参入することを認める非常に重要なもの です。現段階で公表されている情報に基づいた課題や影響としては、 「サービスの長期的な安定供給」と「優先入所」等への対応をどのよ うに担保するのか不明な点や、業績悪化や事業者の勝手な論理で判断がなされる懸念もあるようで、さらに資金使途制限や所得税法に基づく法人税等の課税の有無、建設に伴う公的助成の有無などの論点も挙げられています。一方で今後、多くの民間事業者の特養の運営への参入が見込まれることから、より利用者が介護の質やサービスに基づいて施設や法人を選びやすく選択肢が増えることも期待されて います。今後の法人運営では、これまで以上に質 の高い介護やサービス提供できる体制作りが求め られていくことでしょう。
【用語解説・PFI法】民間の資金やノウハウを活用して、公共施設の整備や建設、維持管理、運営などを行い、また、公共サービスの提供を行う手法を定めた法律
            (参考:2月10日 朝日新聞)

審査基準
@老人福祉法17条の施設最低基準に適合する
A必要な経済的基礎がある  
B経営者が社会的信望を有する
C実務を担当する幹部職員が社会福祉事業の経験・熱意・能力を有する
D特養の経理が他の経理と分離できるなどその性格が社会福祉法人に準ずる
E脱税その他不正目的で経営するものでない


◇介護型療養病床の廃止期限先送り◇
 
  ◆厚労省は15日、介護型の療養病床を廃止する期限を6年間延期し、2017年度末とする方針を決めました。
 昨年4月の「療養病床の転換意向等調査」において、約6割の介護型療養病床の転換先が未定であったこと、また転換を済ませた約2万1,000床についても想定していた老人保健施設へ転換したのは、うち約1,000床に過ぎなかったことなどが、先送りが必要と判断された要因となっています。介護型療養病床は、長期入院が必要な患者を受け入れますが、回復後も行き先のない高齢者が退院せずに長期間とどまり続ける社会的入院が問題化したことから、見直されることとなりました。
 再編は医療と介護の施設を一体的に見直す必要があることから、診療・介護報酬が同時に改定される2018年4月に合わせて廃止し、その間介護型の新設は認めず、医療型や介護施設への移行を促すねらいです。長期入院患者を受け入れている一般病床は療養病床への転換を勧め、受け入れに必要な数を確保します。
               (参考:2月17日キャリアブレイン)

◇子ども・子育て新システム、特別会計義務化せず ◇
 
  ◆厚労省は、10日の全国児童福祉主管課長会議で2013年度の施行を目指す「子ども・子育て新システム」(以下「新システム」と表記)に関連し、市町村の特別会計設置義務化を見送る方針を固めました。
 昨年6月の少子化社会対策会議で決定した新システムの基本制度案要綱の中では、特別会計を設置することで新たな交付金が確実に子育て関連の給付に使われる仕組みにしたいと考えていました。しかし地方からの「地方への不信の表れ」との反発を受けたため、特別会計設置を義務化せず、別のかたちで国や地方が関与・監視できるようにする方向です。その他、幼稚園と保育所を一体化する「こども園」をめぐっては、株式会社などの参入を促すための「指定事業者制」が検討されていますが、厚労省は過当競争になるとの批判もあるため、潜在ニーズを含む需要を上回る供給がある地域では、新規事業者の参入をブロックできる仕組みなどを検討中です。また利用者との直接契約に関しては、利用を支援するために市町村があっせんする責務を法律上明記する考えです。
 現案の保育サービスを使う地位を保障する認定制度は、介護保険制度の要介護認定と類似しています。いわゆる介護保険化は応益負担を意味しており、親の経済力によって平等なサービスが受けられず、本当に支援が必要な利用者ほど負担が増えてしまう問題が懸念されています。また指定事業者制に伴う運営費の使途制限を設けない点について、「利益追求型の保育・経営を招く危険性がある」との声もあることから、今後の方針を注視していく必要があります。
 (参考:2月14日 WAM NET・福祉新聞)