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◇ー幼保一体化に向けた議論、加速ー◇
 
 ◆去る6月16日「子ども・子育て新システム」(以下「新システム」という。)の基本制度ワーキングチームが開催され、小学校就学前の子どもに教育を提供することを目的として、 一定期間後にすべての保育所を幼稚園と保育所の一体化施設「総合施設」に移行することが明記され、保育所における教育の側面が強調されるものとなりました。政府 は新システムについて「少子化社会対策会議」で正式決定後、2012年の通常国会に関連法案を提出、13年度からの段階的実施を目指しており、新制度実施に先立って市町村の 意向を施策に反映させやすくするための「子ども・子育て会議」を設置し、労使代表などの意見を聴取しながら具体的な制度設計を検討する、としています。
 幼保一体化の目的には(1)質の高い学校教育・保育の一体的提供、(2)保育の量的拡大、(3)家庭における養育支援の充実が挙げられていますが、一方会計に関する 重要なポイントとしては右上の表に示された内容が検討されており、実現に向けて議論が進められています。@は、運営費の使途範囲の一層の弾力化による法人全体での 経営的視点の拡大を意味しています。またAは、現在社会福祉法人にのみ認められている施設整備補助について、結果的に法人格にかかわらずその財源が拠出されることを意味しています。 そしてBは、今般の新しい社会福祉法人会計基準の制定にも通ずる考え方です。
 また「こども園」(仮称)の一類型として、「総合施設法」(仮称)を根拠法とした、教育・保育を一体的に提供する「総合施設」(仮称)を創設することが明記されているほか、 市町村の関与による公定価格や施設の指定方法、「こども園給付」(仮称)などの大枠の方向性は、これまでの議論を基礎とした方向でまとまりそうな状況です。                                      (参考:全国紙各紙、内閣府HP)
     ●イコールフッティングの下で、一定の客観的な基準を満たした多様な主体の参入促進を図るため、以下の点について、今後、更に検討を行う。
 
@ 運営費の使途範囲について、こども園給付(仮称)  等を提供するための費用とすることを基本としつつ、  多様な主体の経営努力により柔軟な経営を可能とする  観点から、他会計への費用の繰入を認めること
A 施設整備費について、運営費に上乗せする仕組みと  すること
B 会計基準について、法人種別に応じた会計処理を基  本とした上で、資金の流れを明確化する

◇民間企業による特別養護老人ホームの設置・経営を含む総合特別区域法成立◇
 
  ◆これまで社会福祉法における第1種社会福祉事業として、公立以外には社会福祉法人にのみ認められていた特別養護老人ホームの設置・経営について、民間企業にも設置・経営を認めることを盛り込んだ「総合特別区域法」が、22日に衆議院で可決しました。

特別養護老人ホーム設置者に係る規制緩和の議論としては、社会医療法人について設置・経営を認めることを案として盛り込んでいた「改正介護保険法」が、先の参議院本会議において当該規制緩和策が反対されたことにより修正されていましたが、今般の特区制度の中でこれを位置付け、今秋にも地域指定を行う予定にしています。民間企業が特養を設置する場合には、特に設置予定地区に待機者が存在することを条件に、PFI法に規定する民間企業が老人福祉法の特例を受けて設置できるようにすることとされています。  特養のみならず、すべての介護事業・保育事業を含めた、社会福祉事業全体の規制緩和政策の行方が注目されます。 (参考:福祉新聞6月27日号・7月4日号、首相官邸HP)
<民間企業による特養設置・運営の要件>
@施設最低基準に適合していること
A経済的基礎を有していること
B経営者が社会的信用を有すること
C幹部職員が社福事業実務等の経験を有していること
D経理等が社会福祉法人に準じて行えること
E脱税等の不正行為目的でないこと

<用語解説>
 
<総合特区制度>
●総合特別区域法に基づき各種規制を特定の地域(特区) 内に限定して緩和することにより、試験的に規制緩和を行 う制度。これまでも保育所における看護師・保健師の配置 規制の緩和など、福祉部門における特区指定が行われてい る。特区内に限定して緩和された規制がその後国内すべて の地域に適用されるケースもある。
<PFI>
●Private Finance Initiativeの略で、公共施設が必要な 際、民間資金を利用して民間に施設整備と公共サービスの 提供をゆだねる手法。日本では1999年7月公布のPFI法(民 間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する 法律)の施行以降活用され始めた。