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◇2011年度厚生労働白書、公表されるー国民皆保険・皆年金制度実現から半世紀ー◇
 
 ◆去る8月23日の閣議において「2011年版厚生労働白書」が報告され、公表されました。副題は「国民皆保険・皆年金制度実現から半世紀」で「第1部 社会保障の検証と展望―国民皆保険・皆年金制度実現から半世紀―」 と「第2部 現下の政策課題への対応」で構成されています。国民皆保険制度などの我が国の社会保障制度が果たしてきた役割を人口、雇用の情勢や社会事情などと合わせて検証し、機能強化・持続可能性の確保のために 今後の制度のあるべき姿として、子育て支援など高齢者だけでなく現役世代を中心とする新たな社会保障への対応などを挙げています。厚労省が「社会保障の給付と負担のバランス」について20代から70代の国民に対して 行ったアンケート調査(今年2月郵送で実施、成人2,300人対象、回答率58.3%)によると、年金など社会保障制度の今後の給付について「現状は維持できない」と答えた割合が61%に上り、高齢化に伴って費用が増大する 社会保障について、「すべての世代で支えていくべきで、高齢者と現役世代の負担増はやむをえない」と56.6%が答えています。白書でも「多くの人が社会保障は世代を超えて支えるべきだと考えている」とし、 6月に菅政権がとりまとめた税と社会保障の一体改革の必要性を強調している、との見方もあります。ただし一方で20歳代では「現役世代に今以上の負担を求めるべきではなく、高齢者の負担の増加はやむを得ない」 (15.8%)がほかの世代より多く、20歳代の53.4%が「自分が一生涯で負担した分よりもかなり少ない給付しか受けられないと思う」と、年代が下がるにつれて給付よりも負担のほうが多いといった将来の不安をのぞかせる 傾向が強くなっており、財政悪化などから制度不信が高まっている現状が浮き彫りになったとも言えそうです。
(参考:朝日新聞/徳島新聞/ANNニュース/厚労省HP/CBニュース)

◆第1部 社会保障の検証と展望―国民皆保険・皆年金制度実現から半世紀―
⇒医療・介護の保障や老後の所得保障等は重要な機能で、国民皆保険・皆年金は「今後とも堅持」していかなければならないとしている。今後の姿についても中長期的に持続可能な制度にするため、給付の重点化や制度運営の効率化、安定的財源の確保も必要とした。
 その上で、必要な機能強化を確実に実施するとともに、社会保障全体の持続可能性を確保するため、制度全般にわたる改革を行うことが必要としている。
◆第2部 現下の政策課題への対応
⇒東日本大震災に対する対応状況を冒頭に特集として盛り込み、医療や介護など厚生労働行政分野での施策の動向をまとめている。

     ◇特養の居室定員1名へ省令改正◇
 
  ◆7月28日、特別養護老人ホームの居室定員基準を現行の「4人以下」から「原則1人個室」に変更する省令改正案を諮問されていた社会保障審議会(社保審)介護保険給付費分科会はこれを了承し、近々省令の改正 が行われる見通しとなりました。居室定員基準を1人とするのは、特養と小規模特養(地域密着型介護老人福祉施設)ですが、対象は現在建設中または開設予定の特養で、個室化されていない既存の特養に対しては、必要な経過措置がとられることとされました。
 地方分権一括法の成立に伴い、省令上の基準にかかわらず自治体が条例で居室定員を定められるようになることを踏まえたものですが、居室定員が多いほど介護報酬が低くなるなどの問題が生じる可能性があり、人員配置や居室面積、 利用定員等に関する基準などについては「従うべき基準」(条例の内容が省令に拘束される)や「標準とする基準」(合理的な理由の範囲内で地域の実情に応じて異なる内容を定めることが可能)とされ、その他の設備基準・運営基準は、 「参酌すべき基準」(省令にかかわらず内容を定められる)と規定されることになります。
 厚労省老健局では「介護保険サービスに関する関係団体懇談会」を設置、去る8月8日に開催された第1回会合では、個室介護の実施に伴う職員処遇などについて意見交換が行われました。 改正省令は「遅くとも2013年4月1日 までに施行」としており、定員5人以上の特養に対する介護報酬の「強い減算規定」についても検討が行われるようです。
        (参考:福祉新聞/厚労省HP)

<用語解説>
◎地方分権一括法・・・「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律」の俗称。99年7月16日公布(平成11年法律第87号)。地方分権推進計画を実行するため、地方自治法等475の法改正を行うための法律。 95年に設置された地方分権推進委員会の第1次から第4次までの勧告に基づく地方分権推進計画を策定し、法改正の必要なものについて一括して国会に提出したのが地方分権一括法で、すべての省庁にわたる法律の改正が含まれている。 今般の介護保険関連の項目には「介護保険サービス事業者の指定基準改正」も含まれている。

2011年度厚生労働白書における社会福祉法人関連データ
◆社会福祉法人数 18,982法人(うち厚労大臣所管308法人)
◆社会福祉施設数 96,218施設(うち民間73,368施設)
◆特別養護老人ホーム数 6,207か所
◆保育所数 23,068か所(うち民間12,302か所)
◆児童養護施設数 575か所(うち民間529か所)
◆社会福祉事業常勤換算従事者数 771,616人
(2010年4月1日現在、従事者数は2009年10月1日現在)