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◇厚労省が設置基準緩和へ35市区に特例の指定−認可保育所における待機児童対策−◇
 
◆厚労省は、都市部の保育所待機児童問題の解消策として、来年4月から3年限りの特例で、厚労省が指定する35の市区に限り、面積基準の緩和を認めることとしました。認可保育 所における施設等の面積は、児童福祉施設最低基準(以下、「最低基準」という。)において基準が厳格に定められていますが、最低基準に定められてた基準面積を下回っている場 合でも市区が独自に設置の可否を判断したり、受け入れられる子どもの数を増やしたりできるようになります。
 認可保育所の待機児童は、昨年10月1日現在で48,000人を超え、政府の「税と社会保障の一体改革案」によれば、2010年度に23%であった3歳未満児の保育サービスの利用率を、 2014年度には35%に引き上げる目標を掲げるなど、低年齢児の保育環境の整備に注力していくことが宣言されています。近年の増え続ける保育需要の増加に対して供給量が追いつい ていない状況の中、全国知事会では面積基準の緩和を求めており、政府が地域主権改革の一環として定めた基準緩和の方針を受けて、厚労省が具体的な対象地域について検討してい た結果が示されたものです。
 一方で「詰め込み保育」「保育環境の質の低下」を懸念する事業者や利用者への配慮から基準緩和に慎重な自治体が現れることも予想され、待機児童解消の効果については未知数、との見方もあるようです。
             (参考:朝日新聞/毎日新聞)

<用語解説>
●児童福祉施設最低基準(昭和23年12月29日厚生省令第63号)
⇒認可保育所等の施設面積のほか、職員の配置基準等について厚労省が全国一律で設定している基準。乳児1人当たりでは1.65u、ほふく(ハイハイ)を始めたら3.3u、2歳以上は1.98u、 といった区分が必ず遵守すべき基準とされている。「サービスの質確保」のために全国一律の基準を維持してきたが、現行の配置基準は1948年以来見直されておらず、このたび待機児童解消のために一部指定地域において緩和されることとなった。
 このように「最低基準」と呼ばれるものは、原則としてすべての種別の社会福祉施設において定められており、最低限のサービスの質を担保するための基準として遵守を求められている。

◇厚労省の定めた最低基準面積の緩和基準◇
 
  ●厚労省が、昨年4月時点で待機児童が100人以上、昨年1月1日時点の住宅地の公示価格の平均額が3大都市圏の平均を上回っていることを条件として、対象地域を選定したもの。
■認可保育所の面積基準緩和の対象自治体■ <東京都>中央区、港区、文京区、墨田区、江東区、大田区、世田谷区、中野区、豊島区、北区、板橋区、練馬区、足立区、葛飾区、江戸川区、立川市、三鷹市、府中市、調布市、小平市、東村山市、東久留米市、多摩市、西東京市
<神奈川県>横浜市、川崎市、藤沢市、茅ケ崎市、大和市
<埼玉県>さいたま市、川口市 <千葉県>市川市
<京都府>京都市 <大阪府>大阪市
<兵庫県>西宮市

◇障害者総合福祉法の素案、公表される―障害者福祉サービスは原則無料―◇
 
  ◆去る8月30日、第18回障がい者制度改革推進会議総合福祉部会が開催され、障害者自立支援法に代わる新たな障害者総合福祉法(仮称)の素案がまとめられました。この素案の中では、サービス利用の際の 利用者負担を「原則無償と」することを最大の柱としており、厚労省で法案化を進め、来年の通常国会への提出を目指すこととされました。平成18年に施行された障害者自立支援法では利用したサービスの 一律1割負担が原則でしたが、重度者になるほど利用が多くなることから負担も重くなってしまう仕組みを是正するために昨年末の法改正において応能負担割合に変更され、来年4月から実施されます。
 一方素案ではサービスの費用負担について、食材費・光熱水費等の個人の使用が明らかなものを除いて「原則無償」と明記されました。しかし同時に、厚労省内部でも「無償では国民の理解が得られるの か不安」と意見もあり「高額な収入のある者には収入に応じた負担を求める」とされました。
       (参考:産経ニュース/朝日新聞)

◇第二次一括法が成立〜社福認可権は市へ〜◇
 
  ◆去る8月26日「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」(平成23年法律第105号、第2次一括法)が成立しました。この法成立により、
 @国が法令で地方自治体の業務を縛る「義務付け・枠付け」の見直しを目的とした160の法改正
 A都道府県から市町村への権限委譲を進めるための47の法改正
が行われることになり、この中には「社会福祉法」や「児童福祉法」等も含まれています。これらの改正により、これまで「従うべき基準」とされてきた軽費老人ホームの職員配置基準などを地方自治体が条例で定 められるようにすることや、社会福祉法人の定款認可などの権限を市へ委譲することが盛り込まれており、上記の保育所の最低基準の地域ごとの緩和措置や、既報の特別養護老人ホームの特区での社福以外の設立・ 運営の容認など、より一層地方への権限移譲が進んでいることがうかがえます。
                                 (参考:内閣府HP/福祉新聞)